中国ゲーム市場は成長も伸びは鈍化、海外展開は加速化

(中国)

武漢発

2021年12月28日

中国音像・数字出版協会中国遊戯出版工作委員会と中国遊戯研究院は12月16日、「2021年中国ゲーム産業報告」(以下、「報告」)を発表した。「報告」では、2021年の中国のゲーム市場の売上額を前年比6.4%増の2,965億1,300万元(約5兆407億2,100万円、1元=約17円)と推計。記者発表で、同委員会主任委員の張毅君氏は「売り上げは依然として伸びているが、巣ごもり需要の縮小やヒット商品の減少により、伸び率は2020年(20.7%)より15ポイント近く低下する」との見通しを示した。

中国国内のゲームユーザー数は前年比0.2%増の6億6,600万人と横ばいだった。張氏は「ユーザー数が飽和状態になりつつある。加えて、ゲーム依存症対策として新たな規制が実施されたことや未成年者(18歳未満)に対する保護対策(注)が次第に進展しつつあることにより、ユーザー構成は今後さらに健全かつ合理的なかたちになっていく」と述べ、2021年8月に発表された、未成年者のオンラインゲーム利用時間の制限強化(2021年9月13日記事参照)の成果に言及した。

そのほか、報告では、中国が自主開発したゲームの海外市場での売り上げを前年比16.6%増の180億1,300万ドルと推計した。中国のゲーム産業の海外展開の面で、2021年は対象国・地域数が大きく増加したほか、実際に海外市場に参入したゲームのバリエーションがさらに多様化した1年となった。主な海外市場は、依然として米国、日本、韓国の3カ国だが、直近3年のデータをみると、3カ国の売り上げが全体に占める割合は低下傾向にあり、それ以外の国・地域での売り上げの割合が相対的に高まっているという。

市場規模は世界一も、参入は難しい

中国でゲームを配信、販売する場合、事前に関連部門の審査を受けて許認可を取得する必要がある。オンラインゲームの場合、国家新聞出版署による審査を経て取得する必要があるが、2021年7月を最後に、同署ウェブサイトにおいて、オンラインゲームの配信、販売に必要な審査結果は公表されていない。

ゲーム、eスポーツおよびモバイル市場調査を専門とするオランダのNewzooは、2020年の中国のゲーム市場規模は世界一で、その規模を456億4,200万ドルと推計している。外国企業にとって中国のゲーム市場は魅力的だが、許認可の面で、新たな市場参入が難しい状況が続いている。

(注)国家新聞出版署は2021年8月、未成年者のオンラインゲーム利用時間の制限強化に関する通知を発表した(2021年9月13日記事参照)。

(楢橋広基)

(中国)

ビジネス短信 350c2729ab749c95