蔡台湾総統、米国とのパートナーシップ強化をあらためて表明

(台湾、米国)

中国北アジア課

2022年04月08日

台湾の蔡英文総統は3月30日、台湾米国商会(AmCham Taiwan)が開催した謝恩晩餐(ばんさん)会に参加し、米台間の貿易投資におけるパートナーシップを強化する方針をあらためて表明した。

台湾側は蔡総統のほか、国家安全会議の顧立雄秘書長、外交部の呉釗燮部長、台北市の柯文哲市長、新北市の侯友宜市長ら、米国側からは米国在台協会(AIT)台北事務所のサンドラ・オウドカーク処長も出席した。

蔡総統は祝辞において、この1年間で米台関係は安全保障分野のほか、経済関係もますます緊密になっているとした。具体的には、2021年6月に台湾との貿易投資枠組み協定(TIFA)に基づく協議を約5年ぶりに再開(2021年7月1日記事参照)したほか、11月には「第2回米台経済繁栄パートナーシップ対話(EPPD)」を開催、12月には「技術貿易と投資に関する新たな協力の枠組み(TTIC)」が構築され、半導体などの重要なサプライチェーンを強固にすることで一致したこと、などの一連の取り組みを挙げた。

また蔡総統は、台湾米国商会が2022年1月に在台米国企業に行ったアンケート調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において、向こう3年間の台湾経済の発展について、83%の企業が自信をもっていると回答したことにも触れ、高い評価に謝意を示した。今後もデジタル、新興技術、医療、バイオ、製造業などの分野で台湾の競争力を高めていきたいとしつつ、半導体分野の人材育成については、既に4カ所の重点大学に半導体学院を設立したことを紹介した。

特に米国が重視する半導体のサプライチェーンに関しては、台湾積体電路製造(TSMC)がアリゾナ州に120億ドルを投資することを決め、既に工場の建設が開始されている。米国でも関連法整備が進んでおり、2月4日には、520億ドルとなる国内半導体産業強化のための補助金を含む対中競争法案が米国下院で可決され、上院との調整待ちとなっている(2022年2月7日記事参照)。

蔡総統は長期的には、「実務的な協力を積み重ねていくことで、米台相互貿易協定(BTA)の締結にも実質的な進展があると信じている」と述べ、従来から米国に呼びかけているBTA締結への意欲も示した。

(江田真由美)

(台湾、米国)

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