世界銀行、バングラデシュの推定貧困率を11.9%と予測

(バングラデシュ)

アジア大洋州課

2022年04月21日

世界銀行は4月13日、報告書「バングラデシュ開発の最新報告-グローバルな不確実性の中でのリカバリーとレジリエンス」(注1)を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。バングラデシュは、新型コロナウイルス感染のパンデミックから力強い経済回復を見せ、2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)の推定貧困率(注2)は、前年度の12.5%から11.9%に低下したと述べている。他方で、新型コロナ感染拡大による広範な失業と、収入が減少した労働者の増加、女性の雇用機会回復の遅れによるジェンダー格差の拡大にも言及している。

同報告書のその他のポイントは以下のとおり。

  • 2021年度と2022年度前半は、製造業とサービス業が回復基調となり、バングラデシュの経済成長を牽引。中期的にGDP成長率は引き続き堅調に推移すると予想される(なお、世界銀行による2021/2022年度のバングラデシュの実質GDP成長予測は6.4%、注3)。
  • 2022年2月のインフレ率は、主要食材や食材以外の価格の上騰とともに、6.2%に上昇(2022年3月9日記事参照)。ロシアのウクライナ軍事侵攻に伴う世界各国の制裁措置による世界的な商品価格の高騰を受け、主要輸出市場であるヨーロッパでの需要減少や、経常赤字の拡大、さらなるインフレ率の上昇を懸念材料としている。
  • インフレによって貧困層に格差が拡大している。長期間にわたる商品価格の上昇、エネルギーや電力、農業セクターへの補助金支払いの増加によって、財政赤字が拡大し、経済が下振れするリスクがある。
  • 2022年3月の「世界銀行・IMF共同債務持続可能性分析」では、バングラデシュの公的債務は引き続き持続可能かつ、依然として対外および公的債務危機のリスクが低いと評価。
  • 世界銀行のバングラデシュ・ブータン担当ディレクターのマーシー・テンボン氏は「今後、同国の持続可能で包括的な成長は、インフレとロシア・ウクライナ戦争の潜在的影響を注視することが重要」と指摘。

(注1)今般の報告書は同じく4月13日付で発表された「南アジア経済フォーカス―規範の再構築外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に付随するもの。

(注2)世界銀行が定めた貧困線(1日1.90ドル)以下で生活する人の割合。

(注3)別途で4月6日には、アジア開発銀行(ADB)が2021/2022年度の実質GDP成長率は6.9%と予想した結果を発表(2022年4月18日記事参照)。

(寺島かほる)

(バングラデシュ)

ビジネス短信 0406b7e0115acd83