アフリカ9カ国の投資コスト比較調査、2021年は物流コストが上昇
(アフリカ)
中東アフリカ課
2022年03月22日
ジェトロは2021年10月から2022年2月にかけて、アフリカの9カ国9都市(注1)を対象に、賃金や地価・事務所賃料、公共料金、輸送、税制、教育にかかるコストを調査し、3月18日に調査レポート「2021年度 アフリカ投資関連コスト比較調査(2022年3月)」として公表した。2021年は新型コロナウイルス感染拡大に伴う物流やサプライチェーンの世界的混乱もあり、アフリカでも輸送コストが上昇した(注2)。
40フィートコンテナのアフリカから日本への輸送にかかる費用を見ると、エジプト(アレキサンドリア港から横浜港、内陸輸送費別)は4,200ドルと前年の920ドルから約4.6倍となった。南アフリカ共和国(南ア、ダーバン港から横浜港、内陸輸送費別)やナイジェリア(アパパ港から横浜港、内陸輸送費別)でも、それぞれ1,700ドルから2,830ドル、650ドルから1,085ドルと上昇した。また、日本からアフリカへの輸送にかかる費用を見ると、南ア(横浜港からダーバン港、内陸輸送費別)で1万750ドルと前年の4,900ドルから2倍以上上昇したほか、モロッコ(横浜港からカサブランカ港、内陸輸送費込)では4,570ドルから2万594ドルと約4.5倍上昇した。そのほか、エチオピア(横浜港からジブチ港、内陸輸送費込)で6,840ドルから9,000ドル、ケニア(横浜港からモンバサ港、内陸輸送費込)で5,761ドルから9,872ドル、モザンビーク(横浜港からマプト港、内陸輸送費別)で6,748ドルから1万2,000ドルに上昇した。
各国の賃金水準を比較すると、製造業ワーカーの平均月額賃金は、労働集約型の軽工業ハブを目指すエチオピアで36ドルと最も安価だった。一方、多くの外資系企業が拠点を構える南アが約1,567ドルと最も高かった。日系を含む自動車部品メーカーなどが多く進出するモロッコは約275~550ドルだった。2022年から民間企業に初めて最低賃金を導入するエジプト(2022年1月6日記事参照)は367ドルだった。非製造業のスタッフ(一般職)の給与を見ると、モザンビークが169ドルと最も安く、最も高かったのは南アで1,091ドルだった。
なお、税制では特段の変化は見られなかったが、法人所得税について、南アではこれまで、基本税率は28%と定めていたが、2022年4月1日以降に開始する事業年度から27%に引き下げることになっている(注3)。
(注1)2021年度からガーナ(アクラ)で調査を開始している。
(注2)各調査対象国の現地通貨は、2021年11月1日の銀行間レートなどでドル換算している。
(注3)詳細については「日本からの進出に関する制度(南アフリカ共和国、税制)」を参照。
(梶原大夢)
(アフリカ)
ビジネス短信 f1a42337362439b7




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