米テスラのドイツ工場を当局が最終承認、生産開始へ

(ドイツ、米国)

ベルリン発

2022年03月14日

ドイツ北東部のブランデンブルク州の州環境省は3月4日、米国の電気自動車(EV)メーカーのテスラが同州に建設したバッテリー式EV(BEV)とリチウムイオン電池の新工場での生産を条件付きで最終承認した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

テスラは2019年11月にベルリン市郊外のブランデンブルク州グリュンハイデに「ギガファクトリー」を設立すると発表(2019年11月21日記事参照)、同州による部分的な承認の下、2020年春に建設を着工した(2020年2月28日記事2020年12月3日記事参照)。

同州環境省が決定文書に定めた水源保護や大気汚染対策、労働安全などの要件を満たした後に生産開始が可能となる。アクセル・フォーゲル・ブランデンブルク州環境相によると、テスラは2週間以内で対応を完了させる見込みだ(ドイツ経済紙「ハンデルスブラット」2022年3月4日)。

「ギガファクトリー」は、欧州市場向けのBEV〔スポーツ用多目的車(SUV)「モデルY」〕の最大年間50万台の生産能力を有する。可能な限り地域の再生可能エネルギーを利用するとともに、工場の屋根置き太陽光発電によりエネルギーを賄う。リチウムイオン電池工場では、高さ80ミリ、幅46ミリの新型電池セル「4680」型を製造する。

電動車のサプライチェーン、ブランデンブルク州に集積

ブランデンブルク州は、地域内の発電や自動車生産、カーボンニュートラルなモビリティーの一体的発展による気候中立の達成を目指している。同州には気候中立達成に取り組むモビリティー関連の企業の生産拠点が集積しつつあり、代表的な企業は以下のものがある。

  • BASF(ドイツ):2020年2月に車載用電池材料である正極材(CAM)の生産工場、2021年7月に使用済みリチウムイオン電池などからリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを抽出するリサイクルの試作工場の設立を発表。
  • マイクロバスト(米国):2020年7月にリチウムイオン電池の製造拠点と欧州本部の設立を発表。
  • メルセデス・ベンツ(ドイツ):2021年3月に同州内の工場での大型バン(バッテリー式)「eスプリンター」の生産開始を発表。
  • ロック・テック・リチウム(カナダ):2021年10月にバッテリー向けの高純度水酸化リチウムの製造工場の設立を発表(2021年10月18日記事参照)。

(中村容子)

(ドイツ、米国)

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