テスラ工場建設用地の森林伐採に高裁が一時停止命令

(ドイツ)

ベルリン発

2020年02月28日

米国の電気自動車(EV)メーカーのテスラが、ドイツ・ベルリンの工場建設用地整備のために行う森林伐採に対し、2月15日、高等裁判所は伐採作業の一時停止命令を出したものの、2月20日に再開を許可した。

ベルリン・ブラウンシュバイク高等裁判所に伐採許可差し止めを申し立てたのは、環境保護団体のグリューネリーガ・ブランデンブルクと、バイエルン州景観保全と種の保護協会(VLAB)。環境保護団体は、建設に反対するものではないが、環境アセスメントの手続き完了前に伐採が開始されたプロセスを問題視して伐採停止を要請。高等裁判所は2月16日に、最終判決まで伐採作業の一時的停止を命じた。その後、高等裁判所は、伐採許可は工場建設の早期開始のための法的要件の順守が確認されたとして、2月20日に再開を許可した。

テスラは、2019年11月にベルリン近郊のグリュンハイデにEV工場の建設計画を発表(2019年11月21日記事参照)、2021年7月の稼働を予定している。ブランデンブルク州環境庁は2月13日、テスラに対し、現在手続き中の環境アセスメントの最終承認が得られない場合は元の状態に復元する規定を前提とし92ヘクタールの森林伐採を許可。テスラは伐採を開始し、一時停止が命じられた時点で、残り3日間で伐採は完了する計画だった。

環境保護を掲げる緑の党内からは、同用地は松の植林であることから「この工場建設のために伐採と自然保護は何ら関係がない」(緑の党連邦議員会副会長のオリバー・クリッシャー氏)、「クリーンモビリティと気候保護、ベルリンとブランデンブルクのために、テスラの将来への投資を迅速に可能にする必要がある」(ベルリン市経済・エネルギー・ビジネス相のロマーナ・ポップ氏)など、むしろ、この環境保護団体による差し止め請求を批判する声が多数上がっていた。

また、産業界からも「官僚主義と過剰規制によりプロジェクトが失敗すれば、外国の投資家に対して壊滅的なシグナルを送ることになる」〔連邦中小企業協会(BVMW)会長のマリオ・オーホーベン氏〕など、ドイツへの投資にブレーキがかかることのないよう迅速な承認手続きを求めるコメントが相次いでいた。

(高田勝敏、中村容子)

(ドイツ)

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