商用トラックメーカーのトレイトン、電動トラックの研究開発に注力

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年03月25日

ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)の商用車部門トレイトンは3月16日、代替駆動装置を搭載した商用車への移行を加速させるために、2026年までの電動トラックの研究開発費用として26億ユーロを投資すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

水素を動力源とする燃料電池トラックと比較して、電気で走る電動トラックはエネルギー効率が高い。燃料電池トラックはエネルギーの4分の1が動力に利用され、他は失われるのに対し、電動トラックは4分の3を動力に利用できる。トレイトンのクリスチャン・レビン最高経営責任者(CEO)は「今後5年間、重点的に電動トラックの開発に取り組むことで、同社が持続可能な輸送において主導的な役割を担っていくだろう。各種規制への対応とインフラ整備を行うことで、2030年までに自社の長距離トラックの50%をゼロエミッションにすることを目指す」としている。

電動トラックの走行に欠かせない電力確保について、レビンCEOは「トラックは主に供給ピーク時や需要が少ないときに充電されるため、電力網への負荷も少ない。そのために最低限必要な充電インフラの整備に注力するべきで、乗用車用の急速充電インフラが今後整備されることで相乗効果も期待できるとコメントした。なお、電動トラックの量産に関する動きとしては、トレイトンに属するMANトラック&バスが2021年6月に「Eモビリティセンター」開設を発表している(2021年6月17日記事参照)。

商用トラックの将来の動力源に関しては、電気か水素かで各メーカーによって事業判断が分かれる。例えば、ドイツ自動車大手ダイムラーの子会社のダイムラー・トラックや、自動車部品・電動工具メーカーのボッシュは、燃料電池トラックの開発に向けて、他社との合弁会社設立を通じて、燃料電池システムの開発にかじを切り始めている(2021年5月17日記事参照)。

トレイトンは2021年末に、ダイムラー・トラックやスウェーデンのボルボグループと合弁で、電動トラック・バス向け公共充電インフラを整備する会社を設立すると発表した(2021年12月24日記事参照)。合弁会社設立から5年以内に、欧州全域で少なくとも1,700カ所の充電施設が設置される見込みだ。

(大河原楓)

(ドイツ)

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