商用トラックメーカーのMAN、電動トラック量産に向けた施設を新設
(ドイツ)
ミュンヘン発
2021年06月17日
フォルクスワーゲン(VW)の商用車部門トレイトンに属するMANトラック&バスは6月9日、電動トラックの量産を実現するための「Eモビリティセンター」を開設したと発表した。
「Eモビリティセンター」は、バイエルン州ミュンヘンの本社工場の建屋を改築し、新たに開設された。同センターでは、電動トラックの量産に向けた準備と、電動トラック生産のための従業員教育を行う。電動トラックの量産は2024年からで、ディーゼルトラックと電動トラックを1つのラインで生産する予定。MANによると、電動バスの量産は既に実現している一方で、電動トラックは現時点で量産に至っていないという。
電動トラック量産のための従業員教育は、2023年までに完了する見込み。電動トラックでは、従来のディーゼル車などに比べて、蓄電池や電気モーター、高圧部品・ケーブルなど新たな部品があり、また、車体構造や製造プロセスも異なる。そのため、「Eモビリティセンター」では、従業員が電動トラック製造に関する理論と実践を経験し、電動トラックの量産に対応できるようにするための教育が行われる。
同センター開設に当たり、MANトラック&バスのアンドレアス・トストマンCEO(最高経営責任者)は「将来の商用車のカギとなるのは電動化技術だ」と明言した。商用トラックの将来の動力源はメーカーによって見方が異なっており、MANが属するトレイトンは電動が主力になるとしている(2021年5月17日記事参照)。MANは、二酸化炭素(CO2)排出量削減義務の強化、電動トラックのランニングコスト低下などにより、電動トラックの需要が水素を利用する燃料電池トラックよりも増加するとしている。
欧州自動車工業会(ACEA)によると、2020年にEUで新たに登録された商用トラック(3.5トン以上)は24万7,499台で、うち96.5%がディーゼル車だった。電動、プラグイン・ハイブリッド、ハイブリッド、代替燃料車は合わせて3.4%にとどまっている。一方、ACEAは2021年5月、2025年までに約4万台、2030年までに約27万台の電動トラックがEUおよび英国で稼働するとの予測を発表している。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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