東南アジアで新型コロナ感染のピークアウト続く、フィリピンで減少顕著

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール)

アジア大洋州課

2022年03月18日

ジェトロはアジア大洋州地域の新型コロナウイルスに関する直近の主要な動きをまとめた。感染者の減少が続き、直近7日間の平均新規感染者数が600人を下回るフィリピンでは、観光やビジネスの無査証での入国条件をさらに緩和する動きがみられた。また、オミクロン株による感染の波がピークアウトしたとみられるシンガポールやインドネシアでは、国内の感染防止対策の緩和や、緩和措置継続の動きが出ている。他方、感染拡大が継続しているマレーシアでも、4月からの入国制限措置の大幅な緩和を控え、ワクチン接種が完了していない観光客などの受け入れに関する検討が進んでいる(3月15日時点)。

各国の主要動向は以下のとおり。

〇フィリピン〔直近7日間の平均新規感染者数(注)は1日当たり578人(減少傾向)〕

政府は3月10日、日本を含む入国査証の免除国・地域に対して、ワクチン接種完了者を対象とした無査証での入国条件を緩和PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。これまで課していた「出発前48時間以内のPCR検査による陰性結果の提示」に加えて、「出発前24時間以内の抗原検査による陰性結果」も有効とした。なお、フィリピンは2月10日から、上記の国・地域に対して、ワクチン接種完了者を対象に無査証で入国を再開し、入国後は施設での隔離を不要(7日間のセルフモニタリングのみ)としていた(2022年2月3日記事参照)。

〇シンガポール〔同1万5,231人(減少傾向)〕

新型コロナウイルス感染者が減少傾向にあることを受け、保健省は3月15日から感染防止対策を簡素化した。マスクを着用している場合、対人距離(ソーシャルディスタンス)の確保を推奨するものの、必須ではなくなった。また、各家庭への訪問人数や職場での集会などの制限を緩和した。他方、引き続き、1,000人を超える大規模イベントについては収容人数の50%以下に制限し、職場への出社率は在宅勤務可能な従業員の50%までとした(保健省3月11日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

〇インドネシア〔同1万8,574人(減少傾向)〕

政府は3月15日、ジャワ島とバリ島での行動制限(PPKM)を3月21日まで延長。ジャカルタ首都圏については、2番目に規制が緩やかなレベル2に据え置いた。これによる出勤可能率などの変更はなく、引き続き非基幹・一般産業の出勤可能率は75%までとした(2022年3月10日記事参照)。なお、ジャワ島中部に位置するジョグジャカルタなどの一部地域では、感染拡大が継続していることから、引き続き最も厳しいレベル4とした(「コンパス」紙3月15日)。

〇マレーシア〔同3万490人(感染拡大が継続)〕

カイリー・ジャマルディン保健相は3月9日、4月1日から実施する入国制限措置の大幅な緩和(2022年3月11日記事参照)について、ワクチン接種が未完了の外国からの観光客には、入国時に5日間の隔離義務を課す方針を発表。さらに、これらの者に対しては飲食店での店内飲食を認めないなど、マレーシア国内での感染防止対策の順守を求めると発言した(「エッジ・マーケット」3月9日)。

なお、各国の感染状況や現地の行動制限、空港の再開状況、経済活動の制限などについては、アジアにおける新型コロナウイルス対応状況でも直近の状況をまとめている。

(注)世界保健機関(WHO)のデータから計算。フィリピンは3月7~13日、マレーシアは3月6~12日、インドネシア、シンガポールは3月8~14日のそれぞれ平均値。

(山城武伸)

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール)

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