J&T EXPRESSが中東でのオペレーションを急速に拡大

(サウジアラビア、中東、インドネシア)

リヤド発

2022年03月02日

インドネシアの物流企業J&T EXPRESS(本社:ジャカルタ)は2022年3月より、香港からの直行便による輸送サービスに加えて、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)を結ぶ航空輸送を開始する計画を明らかにした(2022年2月22日)。

同社は、2021年4月から湾岸地域における国際宅配便ビジネスの事業開始に向けた準備を進め、2022年1月にeWTPアラビアキャピタル(注)などと共同で、サウジアラビアとUAEにおける事業開始を正式に発表。その後、2月上旬に開催された大規模テックイベント「LEAP2022」の場で、サウジアラビアに地域統括拠点を設立するなど、20億ドルの投資計画があることを明らかにしていた(2022年2月3日記事参照)。

J&T EXPRESSは、サウジアラビア国内で企業向けに30キログラムまでの荷物を配送する認可を受け、事業拡大を急速に進めている。国内主要都市に6カ所の大規模倉庫を有し、国内全域を既にカバーしている。IT技術を積極的に利用した配送システムを強みとし、5,000リヤル(約15万円、1リヤル=約30円)までは保険料なしで配送を保証するなど、他社との差別化を図っている。現在、一般消費者向けのサービス提供についても、当局からの認可を待っている状況だ。

同社は、積極的な投資を通じて、2022年中にサウジアラビア国内の配送業者として最大手の地位を獲得することを目指している。また、Eコマース企業とのビジネスについても積極的に取り組み、中東地域における最大手の1つであるNoon.com(2020年12月16日付地域・分析レポート参照)に加え、アマゾンなどを既に顧客としている。

日本企業の利用にも期待

サウジアラビアでの物流ビジネスの拡大に当たっては、国内物流とともに、周辺国との物流基盤整備に改善の余地があることが長らく指摘されてきた。競合先には、UAEのドバイに本社を有する地域大手Aramexのほか、地場のSMSA、Naqel Expressなどがあるが、営業部門のアキレス・ワン部長は、自社の競争力に自信を示す。「日本の国際配送業者とも提携関係があり、日本から当社のサービスを利用することが可能だ。日本企業にもぜひ当社のサービスを利用してほしい」と話し、日本企業の利用にも期待する。

写真 リヤド市内の営業所(J&T EXPRESS提供)

リヤド市内の営業所(J&T EXPRESS提供)

写真 J&T EXPRESSの営業チームメンバー(J&T EXPRESS提供)

J&T EXPRESSの営業チームメンバー(J&T EXPRESS提供)

(注)eWTPは、アリババを創業したジャック・マー氏が提唱した概念で、世界電子商取引プラットフォームの略称。eWTPアラビアキャピタルは、中東地域でのeWTP実現に資する企業に投資するベンチャーキャピタル。

(秋山士郎)

(サウジアラビア、中東、インドネシア)

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