2021年第4四半期のGDP成長率は前期比0.6%、プラス成長も回復が減速
(イタリア)
ミラノ発
2022年03月15日
イタリア国家統計局(ISTAT)は3月4日、2021年第4四半期(10~12月)の経済成長率(季節調整済み)を、前期比で0.6%、前年同期比で6.2%と発表した
。イタリアでは、新型コロナウイルスの感染状況が改善するにつれ、第2・第3四半期(4~9月)は堅調な回復が続いていたが(2021年9月3日記事、2021年12月8日記事参照)、同年12月ごろからの感染再拡大、およびエネルギー価格高騰などの影響を受け、成長が鈍化した。ただ、回復は減速したものの、プラス成長は4四半期連続で維持した。
需要項目別にみると(添付資料表参照)、全ての項目で前期比プラスまたは横ばいとなった。国内最終消費については、GDPの約6割を占める個人消費支出は横ばい、政府最終消費支出は0.7%増となり、全体で0.2%の微増にとどまった。一方、総固定資本形成は2.8%増と前期の1.8%増から伸びを広げ、4四半期続けてのプラスを維持した。同項目のうち、住宅が4.5%増と需要項目中最大の伸びを記録した。機械設備は1.1%増と、新型コロナからの回復に伴い6四半期継続してプラスを保っているが、前期の2.0%増からは減速した。その他、財・サービスの貿易は、輸出は横ばい、輸入が4.2%増となった。
なお、イタリア国家統計局は3月1日、2021年通年のGDP成長率(名目)を前年比で6.6%と発表した
。欧州委員会の発表
(2月10日付)でも、イタリアは6.5%と、EU平均の5.3%を上回る回復をみせた。
地政学的緊張により今後の見通しは不透明
しかし、昨今のウクライナ情勢なども影響し、今後の見通しは不透明だ。イタリア国家統計局は3月9日に発表した月例経済見通し
において、「世界的な景気変動を特徴づけるような既存の下振れリスク要因に、エネルギーや食料品のさらなる価格上昇の引き金となる、国際的な地政学的緊張が加わった」と言及。加えて、同危機がイタリア経済に与える影響を推測することは現段階では著しく困難としつつ、エネルギー価格の高騰は2022年のイタリアのGDP成長率を0.7ポイント押し下げる可能性があるとした。
(山崎杏奈)
(イタリア)
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