第2四半期のGDP成長率は前期比2.7%、サービス業も徐々に回復

(イタリア)

ミラノ発

2021年09月03日

イタリア国家統計局(ISTAT)は8月31日、2021年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率を前期比で2.7%、前年同期比で17.3%と発表した(季節調整済み、添付資料表参照)。新型コロナウイルスの感染再拡大に見舞われた前期を経て、4月以降は状況が改善。ワクチン接種も進む中、6月にはほぼ全土が各種規制措置の対象外となるホワイトゾーンに指定された(注、2021年6月22日記事参照)。規制緩和に伴い社会活動が活発化する中、成長が鈍化した前期から回復が加速した。

需要項目別にみると、政府最終消費支出(前期比0.9%減)を除く全ての項目でプラスとなった。イタリア経済を牽引する重要な要素の1つである個人消費支出は前期比5.0%増と伸長、国内最終消費は3.4%増となった。GDPの約2割を占める総固定資本形成は2.4%増と、4四半期連続でプラス成長となり安定した伸びをみせた。そのうち、住宅が3.0%増となったほか、機械設備への投資も2.8%増と好調だった。機械設備も総固定資本形成と同様、経済活動の再開が軌道に乗り始めた2020年第3四半期(7~9月)以降、継続して成長を維持している。また、前期ではマイナスとなった輸送機器への投資は3.3%増とプラスに転じた。そのほか、財・サービスの貿易は、輸出が3.2%増、輸入が2.3%増と伸長した。

サービス業も徐々に回復、シチリア州はイエローゾーンに

新型コロナウイルス感染拡大によって大きな経済的打撃を受けた後、イタリア経済の回復はこれまで製造業が牽引していたが(2021年3月8日記事参照)、各種制限措置の緩和に伴ってサービス業も徐々に追い上げてきている。ISTATが9月1日に発表したサービス業売上高指数(暫定値)によると、2021年第2四半期の指数は109.3と、前期(97.4)から11.9ポイント上昇したほか、感染拡大前の2019年同期の数値(110.5)に近づきつつある。

安定した回復が期待される一方で、懸念材料は残る。保健省は8月27日、感染状況の悪化に伴い、同30日からシチリア州をイエローゾーンにすると発表した。全国の新規感染者数について、現在のところ以前のような極端な増加はみられないが、引き続き動向が注目される。

(注)イタリアは州別の感染リスクの度合いが高い順に赤・オレンジ・黄・白で色分けし、ゾーン別に異なる規制措置を講じてきた。現在のゾーン別措置については保健省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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