MANエナジーソリューション、水素製造子会社へ5億ユーロの投資発表

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年03月11日

フォルクスワーゲン(VW)傘下のMANエナジーソリューションは3月2日、水素事業強化のため子会社H-TEC SYSTEMSに対して最大5億ユーロを投資すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

H-TEC SYSTEMSは、ドイツ南部アウグスブルクと北部ブラークに拠点を構える、水素製造用のPEM(Proton Exchange Membraneの略、プロトン交換膜)電解装置を開発する水素技術専門メーカーだ。PEM電解とは、水を電気で分解してグリーン水素(注)を生成するプロセスのことを指し、燃料電池に直接使用できる高純度水素の製造が可能。同社はこれまで、MANエナジーソリューションのグローバル販売ネットワークや主要プロジェクトにおける経験だけでなく、VWグループの特に生産や調達に関する知見や経験を直接活用することで事業を拡大してきた。

MANエナジーソリューション社長のウーウェ・ラウバー氏は「今後5~10年で、グリーン水素は脱炭素化に向けた最も重要な1次エネルギー源の1つとなる」と予測し、水素製造技術の量産化を加速させたい意向だ。

H-TEC SYSTEMSの社長兼営業責任者に新しく就いたロビン・フォン・プレッテンベルク氏は、今後の水素事業の成長戦略について、「現在の水素市場は分散型で地域での利用に焦点を当てているが、今後数年間で100メガワット以上の案件が増えるだろう。中期的には、数ギガワットの大規模プラントの設置により、水素を輸出し、全世界の産業部門に供給することが可能となり、水素市場は構造変化を遂げることになるだろう」とコメントした。

ドイツ南部バイエルン州では、2020年5月末に同州経済・開発・エネルギー省が今後の水素関連市場拡大を見据えて、研究開発の推進やインフラ整備などを目標に掲げた「バイエルン水素戦略」を発表し(2020年6月5日記事参照)、2022年2月に同省はMANトラック&バスの水素研究プロジェクトにも資金提供すると明らかにした(同省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ドイツ連邦政府は、2020年6月に採択した「国家水素戦略」(2020年9月9日付地域・分析レポート参照)に基づき、2021年6月にはグリーン水素のドイツ国外での生産とドイツへの輸入を推進するための「H2グローバル」プロジェクトへ総額約9億ユーロの予算を充てると発表した(2021年6月23日記事参照)。2021年11月末に新政権が発表した連立協定書においても、水素製造を気候保護の取り組みの1つに掲げている(2021年11月26日記事参照)。その他、企業の動きとして、ドイツ電機大手シーメンスが2021年7月に国内最大級のグリーン水素製造プラント設置などを公表するなど(2021年7月29日記事参照)、ドイツ全体で水素の製造と活用に向けた動きが強まっている。

(注)再生可能エネルギー由来の電力を利用して、水を電気分解して生成される水素。製造過程で二酸化炭素を排出しない。

(大河原楓)

(ドイツ)

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