インドネシア、マレーシア、シンガポールで新型コロナ対策の入国制限の緩和加速

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、シンガポール)

アジア大洋州課

2022年03月11日

ジェトロがアジア大洋州地域の新型コロナウイルスに関する直近の主要な動きをまとめたところ、新規感染者数は高い水準が続いているものの、インドネシア、マレーシア、シンガポールで入国制限を緩和する動きが加速している(3月9日時点)。インドネシアでは3月8日から、ワクチン接種を2回以上完了した場合、入国後の隔離を1日に短縮した。マレーシアとシンガポールは、ワクチン接種完了者を対象に、相互に隔離なしの渡航を可能とする「ワクチン・トラベル・レーン」の対象国・地域を拡大している。マレーシアでは4月以降はワクチン接種を2回完了した場合の入国後隔離が不要となる見通しだ。

なお、各国の感染状況、現地の行動制限、空港の再開状況、経済活動の制限などについては、アジアにおける新型コロナウイルス対応状況でも直近の状況をまとめている。

各国の主な動向は以下のとおり。

○インドネシア

  • 政府の新型コロナウイルス対応タスクフォースは3月8日、ワクチン接種が2回以上を完了している場合は、入国時の政府指定施設での隔離期間を1日に短縮すると規定した(2022年3月9日記事参照)。
  • 政府は3月7日、バリ島観光の隔離なし入国を試験的に開始した。併せて、日本含む23カ国から同島に入国する旅行者に対して到着ビザ発給を再開した。

○マレーシア

  • イスマイル・サブリ首相は3月8日、ワクチン接種完了者に対する入国時の隔離措置を4月1日から撤廃し、エンデミック(一定の周期で繰り返される流行)段階に移行することを発表した。同日からは、ワクチン接種を2回完了していれば、国籍を問わず入国時の隔離が不要となる。ただし、出国前2日以内のPCR検査で陰性であること、マレーシア到着時の抗原検査の受検などは引き続き必要となる(2022年3月11日記事参照)。
  • 運輸省は3月5日、タイとカンボジアとの空路での「ワクチン・トラベル・レーン」(注)を3月15日から開始すると発表した(3月5日「マレーシアン・リザーブ」)。また、ペナン州とシンガポール間の航空路線を3月16日から同制度の対象にする(3月4日「マレー・メール」)。

○シンガポール

  • 民間航空庁(CAAS)は3月4日、インドネシアのバリ島、マレーシアのペナン島を3月16日からワクチン・トラベル・レーン対象に追加すると発表した。さらに同日から、インドの全都市、ギリシャ、ベトナムも同制度の対象とした。対象国は計32カ国・地域となる見込み(2022年3月8日記事参照)。

なお、東南アジアでは、複数の国で新規感染者数が依然として多い。マレーシア保健省によると、3月5日に1日当たり感染者数が過去最多(3万3,406人)となった。シンガポールでも高止まり(3月10日の新規感染者1万6,165人)の状況にある。これらの国では感染拡大が継続しているが、重症者数は比較的少数で抑えられている。

(注)新型コロナウイルスワクチン接種完了者を対象に、相互に隔離なしの渡航を可能とする制度

(山城武伸)

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、シンガポール)

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