G20財務相・中央銀行総裁会議、新型コロナ禍での金融政策を議論

(世界、インドネシア)

ジャカルタ発

2022年02月28日

G20財務相・中央銀行総裁会議が2月17、18日、インドネシアの首都ジャカルタでハイブリッド形式で開催された。会議後の声明では、「長期的な経済成長を続けるためには、パンデミックを克服することが大前提外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとなる」として、中・低所得国への支援を表明するとともに、「長期的な金融安定性の強化に向けた取り組みについて再確認した」とした。

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は開会あいさつで「相乗作用(シナジー)と連携によって、世界規模の不確実性に取り組む必要がある」とし、具体的には、インフレーション、食品価格の高騰、海上輸送のコンテナ不足などを課題として挙げた(大統領府ウェブサイト2月17日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同会議では、(1)世界経済と健康、(2)国際金融構造、(3)金融セクターの課題、(4)持続可能な金融、(5)インフラ、(6)国際課税の6項目について議論を行った。世界経済については「回復はしているが、新型コロナウイルスの変異株の出現で勢いが弱まっている」と指摘した上で、「各国の対応能力の差が、回復にばらつきを生じさせている主な要因であり、今後の世界経済の動向を左右する」という現状認識を共有した。IMFは1月25日に発表した「世界経済見通し」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2021年の世界経済の成長率を5.9%、2022年を4.4%と予測し、エネルギー価格高騰などに起因する高インフレの長期化リスクなどを指摘している(2022年1月26日記事参照)。

2021年にG20とOECDによって合意された国際課税に関する2本柱(IT企業を含む巨大多国籍企業への課税権、世界共通の最低法人税率、2021年10月14日記事参照)について、2023年中の施行を目指すことで合意した(インドネシア財務省プレスリリース2月18日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

地政学リスクに留意

インドネシアのスリ・ムルヤニ財務相は会議後の会見で「地政学的リスクは、世界の経済成長見通しに確実に影響を与え得る」とし、ウクライナの直近の情勢について直接的には言及しなかったものの、地政学的要因も含めて経済回復の道筋を検討する必要があるとの考えを示した(「CNBCインドネシア」2月19日)。

(上野渉)

(世界、インドネシア)

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