米運輸省、EV充電インフラ助成プログラムに対するパブコメ募集を開始

(米国)

ニューヨーク発

2021年12月02日

米国運輸省(DOT)は11月29日、11月15日に成立した超党派インフラ法(H.R.3684)(2021年11月9日記事参照)に盛り込まれている、電気自動車(EV)充電施設などへの助成金プログラム策定のため、パブリックコメントを募集すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。パブリックコメントを踏まえ、DOTはエネルギー省(DOE)とも調整の上、同法成立から90日以内に、プログラム実行のためのガイダンスを作成する。

今回パブリックコメントの対象となるのは、「EV充電プログラム(National Electric Vehicle Formula Program)」と「充電および燃料供給インフラプログラム(Charging and Fueling Infrastructure Program)」の2つの助成金プログラム。「EV充電プログラム」は、助成先を州政府に限定し、EV充電施設の取得・設置や運用・保守、施設関連のデータ共有を使途とする。充電施設は、一般の利用者、または複数の会社から認可された商用車のオペレーターに開放することが条件で、現在テスラが全米で展開しているような特定のメーカー車向けの施設は対象に含まれない。また、対象となる充電施設は原則、「代替燃料回廊(Alternative Fuel Corridors)」(注1)への設置が義務付けられている。

他方、「充電および燃料供給インフラプログラム」は、「EV充電プログラム」と同様、施設を一般の利用者に開放することが条件となるが、EVだけでなく、水素、プロパン、天然ガスの燃料供給施設も対象に含まれる。また、助成先として、州政府以外にも、地方自治体やその他の公的機関など、幅広い事業体を対象としており、よりコミュニティベースでの温室効果ガス削減を目的とする。

今回のパブリックコメントの募集では特に、充電インフラ間の距離や、送電網への影響など9項目に関してのコメントが求められている。提出期限は2022年1月28日となっている。提出方法など詳細は連邦政府ウェブページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

エネルギー省が現時点で公表する、全米におけるレベル2と直流急速充電(注2)の充電施設は4万5,587カ所。施設数はここ数年で伸びてはいるものの、EVの本格的な普及のためには大幅な増設が必須だ。今回の助成金プログラムが民間投資を呼び込み、充電施設拡充の起爆剤となることが期待される。

(注1)陸上交通修繕法(FAST法)セクション1413の下、電気、水素燃料電池、プロパン、および天然ガスの燃料供給技術を採用する乗用車および商用車の全米における機動性を向上させるため、連邦政府が主要な高速道路沿いに指定した充電・代替燃料供給施設を結ぶネットワーク。

(注2)レベル2は1時間で10~20マイル(1マイル=約1.6キロ)、直流急速充電は20分で60~80マイル走行分の充電が可能。

(大原典子)

(米国)

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