2021年のGDP成長率(速報値)は4.8%、前年の歴史的後退取り戻せず

(メキシコ)

メキシコ発

2022年02月01日

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)は1月31日、2021年の第4四半期(10~12月)と通年の実質GDP成長率(速報値)を発表した。2021年通年では4.8%となり、マイナス8.2%という歴史的な後退を記録した2020年の落ち込みを取り戻すことができなかった。2021年第4四半期の成長率は前年同期比では1.0%とプラスだったが、前期比(季節調整済み)では0.1%のマイナスだった。

2021年の実質GDP成長率の予測値は、大蔵公債省が6.3%、中央銀行が5.0~5.7%、民間部門が5.6%との見通しを示していたが、いずれの予想も下回る結果となった。さらに、前期比(季節調整済み)では、2021年第3四半期(7~9月、マイナス0.4%)に続いて2期連続のマイナスとなったため、主要各紙は「テクニカルリセッション(注)に入った」と報じている。

第4四半期の成長率を主要産業別に前年同期比でみると、第一次産業(農牧林水産業)は4.8%増と好調だった一方で、第二次産業(鉱工業、建設、電力・水道)は製造業が半導体不足などの長引く供給難に苦しめられるなどして1.6%増にとどまった。第三次産業(サービス業)はゼロ成長だった。オミクロン株が出現した12月下旬を除いては、第4四半期の期間中は新型コロナウイルスの感染状況が比較的落ち着きをみせていたことから、2021年の人材派遣を原則禁止する連邦労働法の施行(2021年4月27日記事2021年8月2日記事参照)、および専門サービス・工事のための人材派遣業者登録(REPSE)の義務化(2021年5月25日記事参照)が影響した、と指摘する声もある。前期比(季節調整済み)では、第一次産業が0.3%増、第二次産業が0.4%増と辛うじてプラスを維持した一方、第三次産業は0.7%減と第3四半期の0.9%減に続いて2期連続で後退している。

業種別の詳細なデータは、2022年2月25日に発表される予定で、その際に成長率が微修正される可能性もある。

(注)2四半期連続での前期比マイナス成長。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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