税関が輸入貨物の原産地の事前教示を開始

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年02月21日

インドネシア税関は2月10日、財務大臣規定2022年第7号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを施行し、輸入貨物の原産地にかかる事前教示手続きを開始した。これにより、輸入者は所定の手続きを行うことで、輸入を予定する貨物の原産地を事前に把握することが可能となった。

同制度を利用したい事業者は、売買取引の存在を証明する書類や、原産地の特定に関する書類などの必要書類をそろえて税関に申請を行う。税関は必要に応じ、申請者に追加資料の提出や口頭での内容説明を求めることができ、申請者からの追加情報や説明を踏まえ、内容に不備がなければ、原産地の事前教示決定書(PKBSI)を発行する。PKBSIは発行日から3年間有効で、輸入申告時に添付することにより、スムーズな輸入通関に役立てることができる(添付資料参照)。

インドネシアの事前教示制度の対象は、品目分類(HSコード)と関税評価だけだったが(2021年1月28日記事2018年12月4日記事参照)、今回新たに原産地もその対象に加わった。また、申請できる者はこれまでは輸入者のみだったが、輸出者や保税物流センター(PLB)事業者、経済特区の事業者なども行えるようになった。

経済連携協定(EPA)の特恵関税を利用して輸入する場合、付加価値基準(RVC)や関税分類変更基準などの原産地規則に照らし、原産性の確認が必要な貨物がある。RCEP協定がインドネシアで発効すれば、累積(注1)や繊維の1工程ルール(注2)などが新たに導入される。RCEP協定などを活用したい事業者にとって、今回の事前教示制度が原産地認定の予見可能性の確保に資するかどうか、税関の運用状況に注目したい。

(注1)多国間EPAでは、ほかの締約国の原産材料を自国原産の材料と見なすルールが定められている。

(注2)例えば、A国で織物を製造し、B国で縫製してC国へ製品を輸出する場合、織物製造と縫製の2工程がいずれも締約国内で行われている場合のみ、原産性を認める方法(2工程ルール)に対し、RCEP協定では、織物製造が非締約国で行われていても、縫製が締約国で行われていれば原産性が認められるルール(1工程ルール)が導入されている。

(佐々木新平)

(インドネシア)

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