事前教示制度、しくみの理解と税関とのコミュニケーションを

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年01月28日

インドネシアにおいて、輸入品の品目分類を事前通知する「事前教示制度」の円滑な利用に当たり、税関との緊密なコミュニケーションが必要となっている。同制度については、2017年3月の制度改正により、申請受理後30営業日以内に品目分類が通知されることになっているものの、この30営業日の解釈について、申請者と税関での見解の相違が発生している状況だ。

事前教示制度は、輸入予定貨物に関する資料、関連データ、サンプルなどをあらかじめ税関に提出し、事前教示決定書の通知を受けることで、同一品目について3年間、同じ関税分類番号(HSコード)で繰り返し輸入できるというものだ。日系企業にとっては、同制度を利用することで輸入に先駆けて関税率が予見でき、不測の追徴課税リスクを減らすなどのメリットがある〔2017年4月13日記事インドネシアの通関問題(2019年7月)PDFファイル(1.8MB)参照〕。

インドネシア関税総局のパンチャ・プトラ・ジャヤ品目分類課長は、ジェトロが1月13日に実施したウェビナーにおいて、税関としては、申請者から品目分類の審査を行う上で十分な裏付けデータなどが提供されていない場合に、申請を受理したとみなさない方針を示した。同氏によると、税関は申請書類を受領後に、まず申請内容が適切かどうかの判断を行う。申請内容が適切な場合、提出された書類の審査、または追加的な分析を税関分析所で実施する。その上で、ASEAN統一関税品目分類コード(AHTN)のガイドラインなどを参照し、事前教示決定書を発行する。同氏は、税関が品目番号を通知するまでの30営業日の起点は、「物品の識別に必要な申請および裏付けデータを完全に受理したとき」とした。

同ウェビナーでは、現地で税務関係の対応にあたるMUCコンサルタントのバンバン・サブール氏も、税関での審査時間の解釈をめぐり税関と輸入者との間で食い違いがみられると指摘した。パンチャ氏は、税関としては輸入者に同制度の活用を進める立場にあり、あらかじめ税関のワンストップ問い合わせ窓口である「Bravo Bea Cukai外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」などを効果的に活用して、制度を利用する上での不明点をなくすことが、円滑な利用につながると述べた。

同ウェビナーには約150人の日系企業関係者が参加したが、このうち事前教示制度を利用したことがあるのはわずか18人にとどまり、いまだ日系企業で活用されているとは言い難い状況にある。なお、同制度を利用する場合、税関の事前教示決定書の発効日から3年間有効となるが、物品の分類規則が変更された場合や、輸入品の型式・仕様が事前教示決定書の内容と異なる場合は無効となるため、注意が必要だ。

【事前教示制度の申請先】

インドネシア関税総局通関技術局品目分類課

(Subdir.of Goods Classification, Directorate of Customs, DJBC)

メール:klasifikasi.barang@yahoo.com外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

電話:+62-(0)21-29688521または左記番号の下3桁について522

【事前教示制度などの制度に関する問い合わせ先】

Bravo Bea Cukai外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ワンストップ窓口)

メール:info@customs.go.id外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

電話:+62-(0)21-1500225(24時間対応)

(佐々木新平)

(インドネシア)

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