バイデン米政権、カタールを同盟国に指定、大型の航空機取引も成立

(米国、カタール)

ニューヨーク発

2022年02月02日

ジョー・バイデン米国大統領は1月31日、カタールをNATO非加盟の主要同盟国に指定する書簡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを連邦議会に送付した。大統領は同日にホワイトハウスでカタールのタミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長と会談した際にその意向を伝えていた。また、米航空機大手ボーイングとカタール航空が200億ドル以上の航空機売買契約をホワイトハウスで取り交わした。

ホワイトハウスが公表したバイデン大統領とタミーム首長の会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、両者は湾岸と中東地域の安全と繁栄の促進や、世界のエネルギー安定供給、アフガニスタン人への支援、貿易・投資協力の強化に関して相互の利益を確認した。その上で、50年にわたる戦略的な友好関係に基づき、カタールを非NATO主要同盟国に指定するに至ったとしている。米国務省のファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、非NATO主要同盟国の指定を受けた場合、当該国は米国との間で協力的な研究のための資材・装備品の貸与や共同訓練に関する合意の締結が可能になるなど、安全保障面で利益を享受できるとしており、カタールを含め18カ国がこれに指定されている。米主要メディアによると、米政府は液化天然ガスの主要生産国のカタールに対して、ロシアがウクライナを侵攻した場合にウクライナやその他の欧州諸国をエネルギー面で支援するよう要請しているとされるが、首脳会談で具体的な進展はなかったもようだ(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版1月31日)。

200億ドル以上の航空機売買契約が成立

ボーイングの発表によると、カタール航空は777-8型機を最大50機購入する外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。契約は合計で200億ドルを超え、ボーイング史上最大の取引金額となる。また、この契約は全米38州にまたがるサプライヤーを支え、3万5,000人以上の雇用を維持し、米国経済に26億ドルの経済効果をもたらすとしている。

契約の署名式に立ち会ったジーナ・レモンド商務長官は声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「バイデン政権は米国の製造業の復興に優先的に取り組んでいる。今回のカタールからの投資は、その優先事項の実行に向けた新たな一歩だ」と述べた。また、今回の投資は、米国のゼネラルモーターズ(GM)とインテルが最近発表した大型投資計画(2022年2月1日記事1月24日記事参照)に続くもので、これらに付随して米国での半導体産業の再活性化が必要とし、議会に対して半導体補助金予算を含む法案(2022年1月26日記事参照)の早期可決を求めた。

(磯部真一)

(米国、カタール)

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