2021年は輸出の大幅増で147億ドル超の貿易黒字に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年02月01日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は1月20日、2021年(通年)の貿易統計を発表した。2021年の輸出額は前年比42.0%増の779億3,400万ドル、輸入額は49.2%増の631億8,400万ドルで、貿易収支は147億5,000万ドルの黒字となった。貿易黒字は前年比17.7%増加し、2019年に次ぐ高い水準になった12月単月では、輸出が65億8,700万ドル、輸入が62億1,600万ドルで貿易黒字は3億7,100万ドルだった(添付資料図参照)。

輸出を品目別にみると、全ての品目が前年比でプラスとなった(添付資料表1参照)。一次産品および農畜産物加工品は、前年比でそれぞれ34.7%増、42.1%増を記録し、特に穀物、食品産業残留物(大豆ミール)、食物油脂などが輸出額全体を押し上げた(2022年2月1日記事参照)。他方、肉類およびその加工品の輸出が前年比でわずか2.4%増にとどまった。政府による牛肉の特定部位の輸出停止や制限措置の導入したためだ(2022年1月19日記事参照)。

輸入も同様に、全ての品目が前年比でプラスとなった。特に中間財の産業用加工資材(49.7%増)、資本財部品(56.6%増)が大幅に増加した。アルゼンチン輸入業者協会(CIRA)は「輸入が増加したのは確かだが、新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が停滞した2020年と比較しているためだ。経済成長に必要な輸入水準に達していない」と分析している。

仕向け地別にみると、輸出では、最大の輸出相手国であるブラジル向けは前年比48.3%増、次いで中国向けが16.7%増、米国向けが51.0%増となった(添付資料表2参照)。輸入でも、それぞれ43.3%増、56.3%増、34.3%増と大幅に増加した。収支をみると、3カ国いずれの国に対しても貿易赤字が続いている。対日貿易では、輸出が2.3倍、輸入が57.5%増で、同じく貿易赤字だ。

INDECは今回、輸入時の国際運送コストの傾向も分析しており、2021年12月時点では、貨物1トン当たりの運賃は141.2ドルで、前年同月比で67.1%上昇、2019年同月比で79.2%上昇したとしている。中国、米国・カナダ・メキシコ、EU、メルコスールからの貨物が全体の72%を占めており、特に中国からの運送コストは前年同月比153.1%、2019年同月比で282.3%の上昇を記録したとしている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

ビジネス短信 41e8415163eacdc4