モルドバが非常事態宣言、ウクライナからの移民受け入れも

(モルドバ、ウクライナ)

ブカレスト発

2022年02月28日

ウクライナ危機を受け、モルドバのマイア・サンドゥ大統領は2月24日、非常事態宣言案を国会に提出し、議会が同日に採択した。航空を含む全ての交通網の特別体制、国家の安全に影響を与える可能性のある人物の追放、移民増加に備えた食糧配給体制の可能性、集会の禁止、電気通信上の特別規則導入、特別な労働体制の確立、労働者の随意辞職の禁止、移民管理上の特別措置が含まれる。

宣言の直後、首都キシナウやブルチなどの国内全空港で、全便が欠航した。3月4日まで領土の空港が閉鎖される。

サンドゥ大統領は、記者会見で「ウクライナからの難民1万人を受け入れる用意がある」と述べた。アナ・レベンコ内務相は、2月24日時点でウクライナから1,900人がモルドバに入国し、うち5人が難民申請したことを明らかにした。ウクライナとの国境には、臨時移民受け入れセンターが設置され、イオン・チェバン・キシナウ市長は「市では宿泊施設8,682室を確保済みで、うち4,467室は今すぐ使用できる状態だ」としている。

また、サンドゥ大統領は2月24日夜、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長と電話会談を行い、フォン・デア・ライエン委員長は「この危機に対応する支援を提供することを含め、EUはモルドバとともにある」と述べたと伝えられている(モルドバ現地報道)。

アナトル・サラル元防衛相は「ロシアは硬軟取り混ぜた交渉状態からついに実力行使に移った。もしウクライナが降伏すれば、抵抗力の小さいモルドバには2つの選択肢しかない。つまりロシアに降伏するか、(NATO加盟国である)ルーマニアと統合するかだ。もしウクライナが降伏すれば、ロシア軍の戦車は必ずウクライナとNATO加盟国の国境を流れるプルート川に到達する。ロシアは金融的、経済的に完全に遮断されなければならない」と述べた。

親欧米派のサンドゥ大統領は2020年12月24日に就任した(2021年1月5日記事参照)。当初は、前大統領の影響下にあった親ロシア派が多数を占める議会と対立していたが、2021年7月11日の議会選挙で、サンドゥ大統領の支持基盤である親欧米政党が勝利し、ねじれ現象が解消した(2021年7月14日記事参照)。

(西澤成世)

(モルドバ、ウクライナ)

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