2021年のASEAN主要6カ国の貿易、新型コロナ感染拡大前を上回る水準に回復

(ASEAN、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム)

バンコク発

2022年02月17日

ASEAN主要6カ国(タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム)の2021年の貿易統計が出そろった(注)。ジェトロが集計したところ、6カ国の同年の貿易総額は前年比25.5%増の3兆2,275億ドルに拡大した(添付資料表1参照)。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年と比べても約2割の拡大がみられた。ASEAN各国で、貿易の回復が鮮明となっている。タイやベトナムなどでは輸出入額が過去最高を更新した(2022年1月26日記事2022年2月1日記事参照)。

貿易黒字は前年比15.2%減の1,115億ドルに縮小した(添付資料表2参照)。資源・エネルギー価格の上昇などにより輸入の拡大幅が輸出を上回っており、輸出総額は23.5%増の1兆6,695億ドル、輸入総額は27.7%増の1兆5,580億ドルだった(添付資料「表3 ASEAN 6カ国の輸出総額」および「表4 ASEAN 6カ国の輸入総額」参照)。ASEAN主要6カ国の輸出の推移をみると、2021年9月から12月にかけて拡大が続いている。輸入については、特に2021年11月から12月にかけて大きく伸びた(添付資料、「図1 ASEAN主要6カ国の輸出」、「図2 ASEAN主要6カ国の輸入」参照)。

各国別にみると、2021年の輸出が特に拡大したのはインドネシアで、石油・ガスや鉱物資源などの輸出増大を背景に、前年比41.9%増の2,315億ドルとなった。マレーシアも27.5%増の2,990億ドルと拡大しており、集積回路を中心とする電気・電子機器・部品、パーム油製品、石油製品、ゴム手袋などが増加した。

輸入については、6カ国とも前年比20~30%台の拡大となっている。フィリピンでは輸入が31.1%増の1,178億ドルと、輸出(14.5%増の746億ドル)に比べて大幅に拡大したことから、貿易赤字は3年ぶりの高水準に達した(「インクワイアラー」紙1月27日)。

(注)各出所は以下のとおり。タイ:商務省、マレーシア:統計局、インドネシア:中央統計庁、シンガポール:統計局、フィリピン:統計庁、ベトナム:税関総局。

(北見創)

(ASEAN、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム)

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