欧州委の諮問機関、EUタクソノミーに関する欧州委提案に否定的な見解示す

(EU)

ブリュッセル発

2022年01月25日

欧州委員会の諮問機関で、民間企業や団体、シンクタンク、EU諸機関などの有識者からなるEUのサステナブル・ファイナンス・プラットフォーム(PSF)は1月24日、「EUタクソノミー」(持続可能な経済活動の分類基準)に合致する企業活動を示す補完的な委任規則に天然ガスと原子力を含める欧州委の方針(2022年1月4日記事参照)に対する見解を公表した(欧州委には1月21日に回答)。PSFは、欧州委が提示した補完的な委任規則案を検証した結果、同案に示された技術的基準は2020年7月施行のタクソノミー規則に整合的でなく、また、2022年1月1日に施行開始した「気候変動の緩和」と「気候変動への適応」を目的とするタクソノミー委任規則(2021年4月22日記事参照)の基準とも基本的な側面で相違があるとして、否定的な見方を示した。

ガス由来の発電について、PSFは、欧州委の案と、タクソノミー規則の目的の1つである気候変動の緩和との整合性を疑問視した。欧州委の案では、二酸化炭素(C02)換算量で270グラム/キロワット時(g/kWh)の温室効果ガス排出量までを一定の条件でタクソノミー基準におけるグリーンな活動の対象に含んでおり、これは、施行済みの委任規則にある、他のエネルギー由来の発電における排出基準100 g/kWhと合致しないと指摘。100 g/kWhを超過する活動は気候変動の緩和に実質的な貢献をもたらすとは言えず、グリーンな活動からは程遠いと評価した。

原子力発電について、PSFは、タクソノミー規則が規定する環境目的に「著しく有害な影響を及ぼさない」原則が保障されているとは言えないと結論付けた。気候変動の緩和への実質的な貢献が認められるとしても、循環型経済への移行や、汚染の予防と管理といったタクソノミー規則の他の目的に照らした場合、同原則を満たしているとは必ずしも言えないと評価した。

PSFのネイサン・ファビアン委員長は「いま喫緊に求められているのは、EUの気候や環境の目標に到達するために明確な基準を提供することであり、これこそがタクソノミーの役割だ。産業界にとって、環境目標に適合するための移行期間における中間段階の指標が必要であれば、別のツールとして適切に検討していくべきだ」と述べ、PSFが提言しているとおり、移行期の中間的な活動を含めた、現行のタクソノミーよりも拡張された基準の導入を検討すべきだと示唆した。

欧州委は今回の諮問結果やEU加盟国の専門家の意見などを踏まえ、委任規則の採択を目指す。1月1日時点の発表では1月中の採択を目指すとしているが、当初1月12日までと設定された欧州委への諮問機関の回答期限も21日に延長された上、加盟国からも異論が上がっており、難航する可能性もある。

(安田啓)

(EU)

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