中国、米中合意の対米輸入目標達成は困難、米シンクタンク調査

(米国、中国)

米州課

2022年01月12日

米国のシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)は2021年12月23日、同年11月までの貿易統計に基づいた米中貿易の調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2020年2月に発効した第1段階の米中経済・貿易協定(2020年2月21日記事参照)で、中国は2021年末までに米国製品・サービスの追加購入・輸入を約束したが(2020年1月17日記事参照)、同調査結果によると、2020年1月~2021年11月までの中国の対米総輸入額は2,219億ドルと目標額(3,564億ドル)の62%にとどまった。

同期間の総輸入額を部門別でみると、農産品は563億ドル(目標額の76%)、鉱業製品は1,370億ドル(同62%)、エネルギーは286億ドル(同47%)で、それぞれ目標の達成が難しい状況だったが、特にエネルギーは目標との乖離が大きかった。サービスについては、月次データが取得できないが、年次データによると、2020年の米国の対中サービス輸出額は404億ドルで2019年比31.9%減だった。また、同期間の米国の対中総輸出額は1,992億ドル、目標額(3,309億ドル)の60%で、部門別でみると、農産品は574億ドル(目標額の83%)、鉱業製品は1,178億ドル(同59%)、エネルギーは240億ドル(同38%)だった。

協定発効後の2年間、中国は米国産品の購入を増やしてきた一方、対米輸出も急増しており(2021年8月18日記事参照)、報道によると、2021年1~11 月で中国の対米貿易黒字は3,580億ドルと、年間ベースで過去最大となる見込みだという(ブルームバーグ12月23日)。

米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は11月、中国の購入不足について協議しているとし、「われわれはこの問題に対する取り組みが努力しなかった場合よりも良い結果につながると楽観的に考えている」と述べた。一方、戦略国際問題研究所(CSIS)のスコット・ケネディ中国部長は、米国は今後、中国を市場主導型の経済に向かわせるべきであり、中国の国家統制を強化するような購入目標を設定すべきでないと主張し、「この実験は失敗だった。正しい教訓を学び、二度と同じことを繰り返さないようにしたい」と述べた(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版12月31日)。

(大塚真子)

(米国、中国)

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