アフリカ大陸の新型コロナ累計感染者数が1,000万人を突破

(アフリカ)

中東アフリカ課

2022年01月17日

アフリカ大陸の新型コロナウイルスの累計感染者数が1,000万人を突破した(1月7日、オックスフォード大学「Our World in Data」)。アフリカ大陸では2021年12月以降、急速に感染者を増やし、年明けには第3波のピークをしのいで1週間平均の感染者数が4万5,000人に達した(添付資料図1参照)。しかし、2022年1月10日をピークに減少しており、世界保健機関(WHO)は13日、オミクロン株によるアフリカ大陸の第4波が「横ばいになった」として、最も短い周期で収束に向かう見通しを発表した。

アフリカ大陸の第4波を引き起こしたのは12月の南アフリカ共和国の感染爆発だ。南アの感染者数は一時、大陸全体の7割に達した。しかし、南ア政府は感染対策を一番低い「調整された警戒レベル1」に据え置いたままピークを迎え、12月30日には夜間外出禁止令の撤廃など、制限内容の一部を緩和している(2022年1月11日記事参照)。現在の新規感染者数は5,000人台で推移しており、政府は14日にヨハネスブルクを含むハウテン州で「第4波」を脱したと発表している。

南アのピークが過ぎても、大陸全体の感染者数が直ちに減少しなかったのは、周辺諸国に感染が広がったためだ(添付資料図2参照)。エチオピアやケニア、ナイジェリアなどの主要国、南アと隣接するザンビア、モザンビークで感染が増加。エチオピアでは感染者数が過去最高の4,000人を超え、上記5カ国合計で1万4,000人まで及んだ。ただし、現在は減少傾向にある。

一方、急激に感染が拡大しているのはモロッコとチュニジアだ。モロッコはオミクロン株発見後、直ちに水際対策を強化したうえ、年末には衛生緊急事態と国際旅客便の発着停止期間を延長していた(2021年12月28日記事参照)。チュニジア政府は1月12日に夜間外出禁止措置(午後10時から翌午前5時まで)を講じると発表し、翌13日から適用している。現在、モロッコとチュニジアは6,000人に迫る勢いで、まだピークに達していない。

アフリカ疾病予防管理センター(CDC)のジョン・ケンガソン所長は、南アの状況に鑑みて「ロックダウンは新型コロナを抑え込むベストな手段ではない」としたうえで、公共衛生と社会対策をバランスよく対策することが必要だと述べた。また、今後のワクチン接種の遅れによって、新型コロナウイルス感染症がアフリカ特有の病気になるのではないかと懸念を示した。

(小林淳平)

(アフリカ)

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