米最高裁、バイデン政権の企業向けワクチン義務化規則を差し止め

(米国)

ニューヨーク発

2022年01月14日

米国最高裁判所は1月13日、労働省労働安全局(OSHA)が2021年11月に公示した、従業員100人以上の企業に新型コロナウイルス用ワクチンの接種を促す緊急臨時基準(ETS、2021年11月5日記事参照)の執行を差し止める判断PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を示した。1月7日に行われた口頭弁論を受けた結果となる(2021年12月24日記事参照)。

ETSは対象企業に対して、従業員がワクチン接種を完了するか、しない場合は毎週の検査とマスク着用を求める方針の策定を義務付ける規則だが、反対する共和党知事州や企業、人権団体などが違憲を主張して連邦政府を提訴していた(2021年11月9日記事参照)。最高裁は現在、保守派判事6人(ジョン・ロバーツ長官、クラレンス・トーマス判事、サミュエル・アリート判事、ニール・ゴーサッチ判事、ブレット・カバノー判事、エイミー・コニー・バレット判事)に対して、リベラル派判事が3人(スティーブン・ブライヤー判事、ソニア・ソトマイヨール判事、エレナ・ケイガン判事)の構成となっており、今回の判断はその構成どおりとなった。ETSの執行を差し止めるべきとした6人の保守派判事の意見書によると、ETSは連邦政府権限の通常の行使ではなく、むしろ大多数の従業員の生命と健康を侵害するものと評価している。ETSが執行された場合、約8,400万人の労働者が対象になるとみられている。「ワシントン・ポスト」紙(1月13日)は、最高裁はこれまでの新型コロナウイルス関連の規制に関しても、各州の要件には協力的な一方、連邦政府による広範な対応については懐疑的な姿勢を取っており、今回の判断にもそれが影響したとみている。

なお、バイデン政権が同時に発表していた、連邦資金で運営されている医療機関の従業員にワクチン接種を義務付ける規則については、連邦最高裁は5対4で全米での執行を認めた。リベラル派判事3人に加え、ロバーツ長官とキャバノー判事が義務化を支持した。

ジョー・バイデン大統領は最高裁の判断を受けて発表した声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「最高裁が大企業の従業員の生命を救うための、科学と法に基づいた常識的な要請を差し止めたことを残念に思う」としつつ、今後、従業員にワクチン接種を求めるかどうかは各州とそれぞれの雇用主の判断次第と、最高裁の判断に従う意向を示した。一方、大統領としては引き続き雇用主にワクチン接種の促進を呼びかけていくとしている。

米国内では、シティグループのように、ワクチン未接種の従業員を1月末に解雇するとの方針を出す企業もある一方、中小規模の企業を中心にワクチン義務化に反対する声もある。ETS執行に対して訴訟を展開した全米自営業者連盟(NFIB)は「パンデミックの始まり以来、まだ、ビジネスの立て直しに努力している米国の中小事業者にとって、今日の判断は歓迎すべき救済だ」との声明を出している。小売業者で構成する全米小売業協会(NRF)も、ワクチンの重要性は理解しているものの、「負担を伴う前例のないOSHAのETSを差し止めた最高裁の判断は、雇用主にとって重要な勝利」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

(磯部真一)

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