米最高裁、バイデン政権の新型コロナワクチン義務化規則の口頭弁論を1月7日に開催

(米国)

ニューヨーク発

2021年12月24日

米国最高裁判所は12月22日、バイデン政権が11月に発表した、従業員100人以上の企業に新型コロナウイルス用ワクチンの接種を促すための緊急臨時基準(ETS、2021年11月5日記事参照)に関する口頭弁論を2022年1月7日に行うと発表した。

ETSは、対象企業に対して2022年1月4日までに従業員がワクチン接種を完了するか、しない場合は毎週の検査とマスク着用を求める方針の策定を義務付けている。しかし、ETSに反対する共和党知事州や企業、人権団体などが違憲を主張して政府を提訴し、11月6日にはルイジアナ州の連邦第5巡回控訴裁判所がETSの一時差し止めを命令していた(2021年11月9日記事参照)。12月17日にはオハイオ州の連邦第6巡回控訴裁が一時差し止めを覆す判決を出したことで、提訴側は本件を最高裁まで持ち込んだという経緯がある。ETSを所管する労働省労働安全衛生局(OSHA)は第6巡回控訴裁の判決発表後、同裁判所の判決を歓迎するとともに、企業がETS順守に向けて誠実に行動している場合は、順守違反があっても1月10日(注)までは裁判所への召喚状を発行しないとの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

1月7日の最高裁での口頭弁論では、このように係争が継続する中でも政府がETSを執行する権限を有するかが焦点になるとみられている。口頭弁論では、バイデン政権が連邦資金で運営されている医療機関の従業員にワクチン接種を義務付ける規則も対象となっている。ホワイトハウスのジェン・サキ大統領報道官は最高裁の動きを受けて12月22日、「特に米国が感染力の高いオミクロン株に直面している中では、喫緊で必要なワクチン接種要請と検査方針により労働者を守ることが重要となっている」とした上で、「われわれはいずれの政策についても法的権限を有すると確信しており、司法省は最高裁において全力で両政策を守る」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

(注)ETSの要求事項のうち、ワクチン接種を完了しない従業員に対する毎週の検査要請に関しては、2月9日まで召喚状の発行を猶予するとしている。

(磯部真一)

(米国)

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