米下院超党派議員団、タイUSTR代表に対中追加関税の適用除外手続き拡大を要請

(米国、中国)

米州課

2022年01月21日

米国連邦議会の下院議員141人は1月20日、米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表に宛てた書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、1974年通商法301条に基づく対中追加関税の適用除外手続きの拡大を要請した。書簡は、下院で通商を所管する歳入委員会に所属するロン・カインド議員(民主党、ウィスコンシン州)やダリン・ラフッド議員(共和党、イリノイ州)らが主導し、超党派の内容となっている。

対中追加関税の適用除外対象品目は、現時点で新型コロナウイルス対策を目的とした医療関連の81品目のみとなっている(2021年11月15日記事参照)。USTRは2021年10月、適用除外の期限が切れた品目のうち、549品目を対象に除外手続きを再開した(2021年10月7日記事参照)。手続きの再開について、カインド議員らは書簡で、新型コロナウイルス感染拡大下でサプライチェーンが混乱する中、代替調達先が限られる産業を支援する重要な第一歩と評価した。一方で、適用除外復活の検討対象となっている品目は、企業が当初適用除外を申請した品目の1%に過ぎないと指摘。追加関税によるコスト増が米国の製造業の競争力を損ねているとして、除外手続きの対象を追加関税が賦課されている全品目に拡大するよう求めた。適用除外の遡及(そきゅう)適用開始日についても、USTRが現在検討している2021年10月12日より大幅に前倒しするよう促した。

書簡では、適用除外手続きの透明性向上も訴えた。政府説明責任局(GAO)が2021年7月に公表した報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを引き合いに、除外手続きについて(1)全ての利害関係者に開かれたものにする、(2)過去に適用除外を受けた品目に関しては手続きを迅速化するなど、手続きを簡素化する、(3)一貫性のある運用を行う、(4)明確で一貫した基準に基づき除外を決定することが必要とした。GAOの報告書では、USTRが適用除外に関わる内部手続きの記録を十分に残しておらず、除外申請の審査に一貫性がない点が指摘されていた。

対中追加関税について、ジョー・バイデン大統領は2022年1月19日に行った就任1周年の記者会見(2022年1月20日記事参照)で、「中国が第1段階の経済・貿易協定の約束を履行し、追加関税の一部を撤廃できると言えるようになるのが望ましいが、そのような状況にはまだない」との認識を示した。中国は、第1段階の合意で2021年末までに米国製品・サービスの追加購入・輸入を約束したが、対米輸入額は目標に満たない見込みだ(2022年1月12日記事参照)。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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