政府がSDGs関連技術など紹介するイベントをリオで開催

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年01月27日

ブラジル連邦政府は1月13から16日にかけて、リオデジャネイロ市で「リオ・イノベーションウィーク」を開催した。イノベーションに関連する最新技術の紹介、起業家、投資家、各産業界の専門家、政府関係者などの人脈形成を図り、投資誘致につなげることを目的とするイベントだ。公式サイトによれば、500人が講演を行い、1,000社以上のスタートアップ企業が関与し、190社・団体が出展した。

科学技術革新省の展示ブースでは、環境に配慮する技術が紹介された。ZEXTECは、グラフェンを使った水質浄化装置で、油が混ざった水から油のみを吸着する技術を紹介した(注)。自然災害で油が漏れ出した場合の浄水や製油所での活用などを見込んでいるという。米国地質調査所(USGS)の「Mineral Commodity Summaries 2021」によれば、ブラジルはグラフェンを積層させた物質であるグラファイトの埋蔵量、生産量ともに世界3位となっている。ナノ粒子の研究に強みを持つリオグランデ・ド・スル州のカシアス・ド・スル大学(UCS)では、中南米で初めてかつ最大のグラフェン生産プラントを2020年3月から稼働している。ブラジルでのグラフェン活用法に産官学から関心が集まっている。

経済省のダニエラ・マルケス戦略特別顧問は1月13日、ブラジル政府の公共サービス電子化への取り組みを紹介した。公共サービスを利用するためのオンライン・プラットフォーム、「GOV.BR」のユーザー数は人口の約7割に当たる1億5,000万人に達し、現政権下で既に1,500以上の公共サービスを電子化しているという。最近の事例としては、中央銀行主導の即時決済システムPIXの始動(2020年12月1日記事参照)や新型コロナウイルス対策としての給付金の配給システム構築などがある。ブラジル政府は2020年、「デジタル政府戦略2020-2022」(2020年5月7日記事参照)を打ち出している。世界銀行が2021年9月に公的部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状を指標化した「GovTech Maturity Index」では、ブラジルは198カ国中7位となっている。

(注)グラフェンは炭素の同素体。リチウム電池の負極剤などに使用される。軽量で高強度、導電性などに優れたナノ炭素素材。ZEXTECの場合、極性を持つポリウレタンフォームの固体表面をグラフェンでコーティングすることで無極性へ導く。これにより、ウレタンフォームを疎水性にして油のみを吸着しているという。

(古木勇生)

(ブラジル)

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