米・英、英国の鉄鋼・アルミ製品への米追加関税問題の解決へ協議開始に合意

(米国、英国、中国)

ニューヨーク発

2022年01月20日

米国の商務省と通商代表部(USTR)は1月19日、英国政府と、米国通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミ製品に対する追加関税措置(232条関税)を含む世界的な鉄鋼・アルミの過剰生産問題の解決に向けた協議を開始することに合意したと発表した(商務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますUSTR外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ジーナ・レモンド米商務長官とアン・マリー・トレビリアン英国際通商相が同日、バーチャル形式の会談を行った。232条関税はトランプ前共和党政権時の2018年3月以降、個別の交渉により、適用除外や数量割り当てや関税割り当ての扱いを受けた国・地域(注)以外からの鉄鋼、アルミ輸入に対して課している。追加関税率は鉄鋼が25%、アルミが10%となっている。

米国のこの措置に対しては、特に同盟・友好国から撤廃するよう強い反発があり、中には英国やEUのように、米国からの輸入の一部に報復関税を課すところも出ていた。バイデン民主党政権になって以降、米国は先行してEUとこの問題の協議を開始し、2021年10月末には合意事項として、米国は2022年1月1日からEUからの鉄鋼・アルミ輸入に関税割り当てを導入し、EUは報復関税を停止することを発表した(2021年11月2日記事参照)。また、米国は日本との間でも2021年11月に、同様の協議開始を発表している(2021年11月15日記事参照)。他方、英国との間でも協議開始を示唆していたものの、正式な発表はなされていなかった。

米英両政府は232条関税に加えて、主に中国が原因となっている世界的な鉄鋼・アルミの過剰生産に起因する両国内産業への影響についても議論したとしている。その上で、双方は類似する安全保障上の懸念を共有する民主的な市場経済国家として、高い基準を推進し、共通の懸念に取り組み、有害な市場歪曲的政策を行う国の責任を追及するために協力することに合意したとしている。

(注)232条関税の適用除外、輸入数量割り当て、または関税割り当て対象国・地域は次のとおり。

  • 鉄鋼の適用除外:オーストラリア、カナダ、メキシコ
  • 鉄鋼の数量割り当て:アルゼンチン、ブラジル、韓国
  • アルミの適用除外:オーストラリア、カナダ、メキシコ
  • アルミの数量割り当て:アルゼンチン
  • 鉄鋼・アルミの関税割り当て:EU

(磯部真一)   

(米国、英国、中国)

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