グジャラート州でEV充電設備網を拡大する取り組み進む

(インド)

アーメダバード発

2022年01月06日

上海汽車傘下のMGモーター・インディアと、電気自動車(EV)の大手充電サービス・プロバイダーのフォータムは12月18日、インド市場でのEV普及に向け、グジャラート(GJ)州で近年成長が著しい中核産業都市スーラトに50キロワット(kW)の超高速EV充電ステーションを設置したと発表した。同市に新たにフォータムの充電器が設置されたことにより、EVユーザーは走行距離に不安を感じることなく、アーメダバード~スーラト間を移動することができる。

アーメダバードに拠点を置く州政府系のアクセラレータ「icreate」は12月20日、充電インフラ整備のチャージプラスゾーンと提携し、インド全国の国道と州道のEV用充電インフラを拡充するため、全国に5万基のEV充電ステーションを設置する総額5億ドルの計画を明らかにした。1月に開催される「バイブラント・グジャラート2022」(2021年11月16日記事)に向けた投資促進活動の一環として、毎週月曜日に発表される覚書(MOU)案件(2021年11月29日記事)の1つとして公表された。

一般的にEV車普及に向けては、ガソリン車と比較した価格の高さ以外でも、(1)充電時間の長さ、(2)1回の充電で可能な走行距離、(3)充電インフラの普及度、(4)限定的なモデル数、(5)EV購入のためのファイナンスが限定的、(6)バッテリーの安全性能への懸念といった諸要因が障壁となっている。特に国土が広く、農村部の電化が遅れている地域があるインドでは、充電インフラの普及度はEV車市場拡大に向けた大きな課題となっている。

MGモーター・インディアは走行距離や充電時間の短縮など車両性能の向上を図る一方、フォータムなどと共同で独自に充電施設網を拡大することで、主力モデル「ZS EV」が投入可能な都市を段階的に増やしている。同社はインドの41都市のディーラーネットワークに44カ箇所の超高速充電ステーションを設置しており、自動車メーカーとしては最多の設置数だとしている(12月18日付GaadiKey)。

インドでは、消費者にとって比較的多くの選択肢があるEV二輪市場とは異なり、EV四輪市場にはメーカーがまだ少なく、販売台数も少ない。2021年4~9月期のEV四輪市場の主要ブランドのシェアを見ると、タタ・モータースの「ネクソン」が72%で1位、MGモーターの「ZS EV」は22%で2位。上位2社で合わせて94%のシェアを占めている。以下、ヒュンダイ、マヒンドラ&マヒンドラと続く。

インドのEV四輪市場は急速に伸びているものの、2020年度のインドにおける四輪車の全登録台数に占めるEVの割合は0.2%程度と限定的だった。2021年4~9月の市場規模は5,700台程度だ。しかし今後、部品やバッテリーの現地生産が進むことで価格が下がり、新規メーカーの参入や既存メーカーのEVシフトが進むことが想定される。インドの調査会社によると、2026年度までにEV四輪車のシェアは12%、51万4,365台と拡大、2021年度~2026年度の期間で年率152.9%で成長すると予測されている。

(古川毅彦)

(インド)

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