インド政府、一般国際旅客便の運航再開を延期

(インド)

ニューデリー発

2021年12月07日

インド民間航空局は12月1日、インド国内空港を発着する一般国際旅客便に関し、運航再開日を延期すると発表した。同局は5日前の11月26日に、2020年3月以降停止が続く国際線定期便の運航を12月15日から認める方針を示していたが、世界的なオミクロン変異株をめぐる新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑み、白紙に戻した。現在、インド国内空港を発着する特別便以外の国際線は、エア・バブル(入国前後の渡航や移動制限などの障壁を緩和・撤廃する2国間協定)に基づき、同局が設定した臨時便に限られており、その措置が当面続く見通しとなった。

インドでは、新型コロナウイルスの感染拡大第2波が到来した2021年4~5月に、1日当たり最大40万人以上の新規感染者数を記録したが、6月下旬以降はおおむね収束していた。政府が積極的に推進するワクチン普及キャンペーンも進み(2021年10月27日記事参照)、少なくとも1回のワクチン接種を受けた接種対象人口は11月末時点で55%以上に達している。10月15日以降は外国人向け観光ビザの発行も段階的に再開(2021年10月13日記事参照)するなど、ポスト・コロナに向けた動きが着々と進んでいた。しかし、12月2日にインドで初めて、オミクロン型変異株の新規感染が南部カルナータカ州で確認され、今後の見通しが不透明となった。

保健・家庭福祉省は11月28日と30日、オミクロン変異株の感染拡大防止を目的として、インド入国時の水際対策措置を一部改定した。インド政府が指定する高リスク国(注)からの入国に際しては、ワクチン接種の有無にかかわらず、到着時のPCR検査を義務化。陰性の場合は7日間自宅隔離となり、入国後8日目のPCR検査で陰性が再度確認されれば、その後の7日間は定期的な検温や各種症状有無の自己点検といったセルフモニタリングに移行する。高リスク国以外の国からの入国に際しても、無作為に選ばれた2%の入国者に到着時のPCR検査を義務付けた。陰性の場合には、残りの入国者と同様に14日間のセルフモニタリングが求められる。

(注)保健・家庭福祉省の11月30日付通達において、高リスク国・地域に指定されているのは、欧州(英国を含む)、南アフリカ共和国、ブラジル、ボツワナ、中国、モーリシャス、ニュージーランド、ジンバブエ、シンガポール、香港、イスラエルの11カ国・地域(掲載順)。

(広木拓)

(インド)

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