第3四半期のGDP成長率はマイナス1.5%、ロックダウンと暴動で低迷

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2021年12月22日

南アフリカ共和国統計局は12月7日、2021年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(前期比、季節調整済み)をマイナス1.5%と発表した(添付資料表1参照)。マイナス成長の最大要因は、南アを襲った新型コロナウイルス第3波によるロックダウン規制の強化と(2021年6月29日記事参照)、クワズル・ナタール州とハウテン州で発生した暴動(2021年7月14日記事参照)の影響とした。また、前回発表された第2四半期の成長率は、0.1ポイント低い1.1%に下方修正された。

第3四半期の実質GDPを産業別でみると、10業種のうち6業種でマイナス成長となった。最も影響が大きかったのは農林水産業で、好調だった第2四半期から一転して前期比13.6%減となった。次に、卸・小売り・飲食業などが5.5%減、製造業が4.2%減と続く。7月の暴動の際、トウモロコシやかんきつ類、サトウキビ農場での放火が相次ぎ、農林水産業分野は2016年以来最も生産が低迷した。そのほか、暴動による国内の混乱は、卸売・小売業、自動車産業などにも大きな影響を与えた。一方、プラス成長となったのは、金融・保険・不動産業・企業サービス(1.2%増)、その他サービス(0.5%増)、政府サービス(0.4%増)、電気・ガス・水道(0.4%増)の4業種だった。

需要項目別でみると、ロックダウンの影響を大きく受けた民間最終消費支出が、家具、住宅設備保守、娯楽・文化などの消費低迷により、前期比2.4%減となった(添付資料表2参照)。第1、2四半期でプラス成長だった財・サービスの輸出は、自動車およびその他の輸送機器、化学品、貴金属、繊維製品などの貿易減少を受け、5.9%減となった。

南ア大手銀行ネドバンクのエコノミストは、第4四半期でプラス成長に転じると予想しながらも、12月の第4波により観光業に影響が出る可能性がある、と指摘している。現時点で、南アの日常生活に大きな混乱はないものの、既に経済的損失が報告されている観光業(2021年12月3日記事参照)が、2021年度全体のGDPにどの程度影響を与えるのか注視が必要だ。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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