新型コロナ感染拡大で「調整された警戒レベル4」に引き上げ

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2021年06月29日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は6月27日、新型コロナウイルス対策の進捗にかかる国民演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「調整された警戒レベル4」に引き上げると発表した。感染拡大第3波の対策として6月15日に「調整された警戒レベル3」(2021年6月18日記事参照)に引き上げたばかりだが、直近1週間の1日当たり感染者数が1万人台後半で推移しており、対策を強化した。「調整された警戒レベル4」の適用は2020年5月以来だ(2020年5月27日記事参照)。

ラマポーザ大統領は、デルタ(インド)型変異株が国内5州で確認されており、2020年に国内で発見されたベータ(南ア)型変異株より速い速度で感染が広がっているとした。感染拡大第1波(2020年7月)と第2波(2021年1月)のピークを上回る恐れがあり、既に医療体制も逼迫していることから、警戒レベルを引き上げたと述べた。

今回の発表で強化した主な制限内容は以下のとおり(詳細は官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に掲載)。

  • 全ての集会を禁止(50人以下の葬儀を除く)。
  • 夜間外出禁止時間を午後9時~翌日午前4時に延長(これまでは午後10時~翌日午前4時)。
  • ノンエッセンシャルに指定される店舗の営業を午後8時までとする(これまでは午後9時まで)。
  • 酒類販売の禁止、レストランの営業はテークアウトもしくはデリバリーのみ許可。

また、ラマポーザ大統領は、国内で最大の人口を擁するハウテン州が新規感染者数の約6割を占めることから、余暇を目的とした同州内外の移動を禁じるとした(出張、物流などを除く)。今回の措置は当面7月11日まで継続する見込みで、その後見直しを行うとしている。

飲食業など一部の業種を除いて企業活動は制限されていないことから、現地日系企業に大きな混乱は見られないものの、従業員の健康・安全を優先し、在宅勤務比率を引き上げる動きが出ている。なお、出入国管理に関する変更はなく、日本からの渡航は可能だ。

ラマポーザ大統領は今回の演説で国内のワクチン接種状況も説明し、医療従事者や60歳以上の高齢者を対象に、約270万人へのワクチン接種(米国ジョンソン・エンド・ジョンソン製、米ファイザー製)が完了しており、7月15日からは50~59歳を対象とした接種を開始すると述べた。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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