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強制労働根絶に向け国家行動計画を策定、ILO強制労働条約も批准へ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年12月02日

マレーシアは11月26日、国内から強制労働を根絶させることを目指し、「強制労働に関する国家行動計画(NAPFL)2021~2025」を立ち上げた。同国が強制労働に焦点を当てた国家行動計画を定めるのは初めて(国際労働機関YouTube参照)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。これに伴い、国際労働機関(ILO)の1930年強制労働条約(第29号)の早期批准を目指すほか、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のアライアンス8.7「児童労働、強制労働、現代の奴隷制、人身取引の撤廃」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにパスファインダー国(注1)として参加することも明らかにした。なお、マレーシアでは、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の2022年中の批准を目指し、1955年雇用法や1959年労働組合法など、労働関連法規の改正手続きも進めている。

NAPFLは、意識向上、取り締まり、労働力の移動、救済・支援サービスへのアクセス、の4つの戦略目標で構成され、2023年には進捗レビューも行う。サラバナン・ムルガン人的資源相は、NAPFL策定に当たり「マレーシアは強制労働の根絶に向け、国際社会と一体となって取り組みを加速させる」と述べた。同相は2021年10月に、「マレーシアはゴム手袋で世界シェア6割を占める主要生産国だが、強制労働問題でイメージが悪化している」と懸念を示していた。外国人労働者の処遇に関する諸外国からの批判を念頭に、宿舎に関する届け出や電子給与システムの導入などを通じ、労働者を受け入れている企業やあっせん機関に対する監督も強化する。NAPFL発表を受け、ILOは「(マレーシアが)正しい方向に向かって進む画期的な一歩だ」と評価するとともに、「(NAPFLによって)第一義的に恩恵を受けるのは労働者だが、より持続的で人権重視のビジネス慣行は、国際競争力向上の面で企業にも裨益(ひえき)する」ともコメントした。

昨今、ゴム手袋業界を中心とした強制労働疑惑をめぐり、米国やカナダによる輸入差し止め措置が導入されるなど、マレーシア製造業の労働環境に対する目が厳しさを増している(注2)。国家行動計画の実施を通じて、諸外国による疑念を払拭(ふっしょく)しつつ、国際基準への準拠を目指す考えだ。

(注1)ターゲット8.7実現に向け、取り組みを推進している国のこと。パスファインダー国同士で知見や好事例を共有することを目的として、2021年11月30日現在、途上国を中心に25カ国が登録。アジアではベトナム、ネパール、スリランカが参画。

(注2)米国税関・国境警備局(CBP)は、2020年7月にトップ・グローブ(その後2021年9月に輸入解禁、2021年9月17日記事参照)、2021年10月にはスーパーマックス(2021年10月22日記事参照)、同11月にはスマート・グローブ(2021年11月9日記事参照)からの輸入差し止めを命じた。スーパーマックスについては、カナダ(2021年11月26日記事参照)や英国(「エッジ」11月24日)も追随する動きをみせている。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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