米運輸省、前政権の燃費基準関連規則を撤廃、州独自の規制容認

(米国)

ニューヨーク発

2021年12月28日

米国運輸省交通安全局(NHTSA)は12月21日、自動車の排ガスや燃費に関する規制を連邦基準に統一するためにトランプ前政権が2019年9月に発表した「One National Program Rule外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(プログラム)を一部撤廃し、カリフォルニア州など各州に独自の基準を制定する権利を再び認める内容の最終規則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(2021年4月26日記事参照)。

自動車の環境規制に関しては、2021年1月発出の大統領令に基づき(2021年1月22日記事参照)、前政権が制定した排ガス、燃費基準値を含む「SAFE車両規則」や、各州が独自で基準値を制定する権限を奪って連邦基準を唯一の基準とする「プログラム」の見直しを環境保護庁(EPA)とNHTSAが行っており、「最終規則」として検討結果を順次発表している(2021年12月24日記事参照)。「プログラム」の見直しに関して、NHTSAは各州へ権限を再び戻す内容の新たな規制案を4月に発表しており、パブリックコメント募集を経て、今回最終規則を発表するかたちとなった。

最終規則の中でNHTSAは「プログラム」の法的有効性を中心に検討した結果、燃費規制の根拠法であるエネルギー政策・保全法(EPCA)の下で州法に対する連邦法の専占の範囲を決定するに当たり、NHTSAは明確な役割を有していないことなどを根拠に、「SAFE車両規制」を見直すとしている。運輸省のピート・ブティジェッジ長官は21日発表のプレスリリースの中で「この最終規則は、気候変動に取り組むための重要な各州の動きを後押しする」「各州は地域社会の気候危機と環境問題に対処する解決策に積極的に取り組むことができる」とコメントした。

(大原典子)

(米国)

ビジネス短信 765a65835c8674d5