第3四半期のGDP成長率は前年同期比4.0%、サービス業は堅調
(ブラジル)
米州課
2021年12月15日
ブラジル地理統計院(IBGE)は12月2日、2021年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を発表した。前年同期比で4.0%、前期比(季節調整済み)でマイナス0.1%だった。
産業別にみると、GDPの7割を占めるサービス業が前年同期比5.8%増、次いで2割を占める工業が1.3%増、農畜産業が唯一のマイナスで9.0%減だった(添付資料表参照)。
サービス産業では、情報サービス(14.8%増)、その他サービス(13.5%増)、運輸・倉庫・郵便(13.1%増)など、金融仲介・保険(1.3%減)を除く全てが増加した。サービス産業は2020第1四半期(1~3月)から2021年第1四半期まで5四半期連続でマイナスだったが、2021年第2四半期(4~6月)にようやくプラスに転換(2021年9月16日記事参照)。第3四半期も前年からの反動とはいえプラス成長を継続しており、新型コロナウイルスワクチン接種が進んでいることなどからも、サービス業の活動が回復している様子がうかがえる。なお、IBGEによると、金融仲介・保険のマイナス要因は、交通事故の死傷件数の増加などによる経済的損失が要因だという。
工業では、需要が回復し雇用が増加した建設(10.9%増)や、鉄鉱石の採掘量などが増加した鉱業(3.5%増)の成長などがプラス要因となった。一方で、電気・ガス・上下水道・都市清掃(4.6%減)はマイナスとなった。ブラジルで長く続いた干ばつの影響で、国内総発電量の約7割を占める水力発電所のダム貯水量が大幅に減少し、稼働率が低下した(2021年10月15日記事参照)ことなどが影響した。製造業(0.7%減)も加工食品、飲料などの製造量の減少から、わずかだが減少した。
当期大幅なマイナスとなった農畜産業は、第1四半期と第2四半期は大豆の好調な生産などによって堅調な伸びを示していたが、大豆の収穫期が年前半で終了。一方で、降雨量不足の影響を受けて第3四半期はコーヒー豆(22.4%増)、綿花・原綿(17.5%増)、トウモロコシ(16.0%減)、オレンジ(13.8%減)、サトウキビ(7.6%減)などの主要農産品の生産量が減少したことが押し下げ要因となった。ただし、ブラジルのGDPにおける農畜産業の比重は前述のとおり大きくはないため、GDPを大きく押し下げる要因とはならなかった。
前年同期比の伸びを需要要素別にみると、「新型コロナ禍」で経済活動が減退した前年からの反動もあり、消費、投資ともに増加した。特に投資(総固定資本形成)は18.8%の伸びを記録し、2020年第4四半期(10~12月)以降4四半期連続で2桁台の成長を継続した格好だ。一方、最終的に消費や投資にまわる財・サービス輸入も前期に続き20%台の大幅な伸びを示している。財・サービス輸入はGDPの控除項目であるため、GDP全体を押し下げたかたちになっている。
(高氏朋佳)
(ブラジル)
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