チン首相立ち会いで45件のMOU締結、日越投資カンファレンスを開催

(ベトナム、日本)

アジア大洋州課

2021年12月06日

ジェトロとベトナム計画投資省は11月25日、東京都内で、「日越投資カンファレンス~日越関係強化 発展に向けた相互協力~」を開催した。同カンファレンスの開催は2019年7月以来、約2年ぶりで、来日中のファム・ミン・チン首相や萩生田光一経済産業相らが出席した。カンファレンスでは、チン首相、萩生田経産相の立ち会いの下で45件、総額120億ドル相当の協力覚書(MOU)交換式が行われた(添付資料表参照)。

冒頭、チン首相は「日本とベトナムの関係はかつてないほどに良好」と発言。(1)(国際統合に向けた)国内の法整備、(2)高度人材育成分野の強化、(3)ソフト・ハード両面でのインフラ整備、の3点を挙げ、さらなる投資拡大のためにビジネス・投資環境の改善を継続すると強調した。さらに、「新型コロナウイルス対策や気候変動といった世界規模の課題に対して日本の力を借りたい」と日本への協力を呼び掛けた。他方、萩生田経産相は「サプライチェーンの強靭(きょうじん)化やカーボンニュートラルの実現に向けたエネルギートランジション協力(注1)など、両国のために力を合わせていきたい」と述べた。

写真 チン首相(ジェトロ撮影)

チン首相(ジェトロ撮影)

ベトナム計画投資省外国投資庁(FIA)のドー・ニャット・ホアン長官や現地に進出する日本企業によるパネルディスカッションで、双日の藤本昌義代表取締役社長 CEOは「(新型コロナウイルスの)第4波では食料・生活・リテール関連事業に断続的なサプライチェーンの乱れが発生した」とし、今回の教訓を生かし、一層のマーケットインの視点とデジタルトランスフォーメーションを導入していくと述べた。住友商事の兵頭誠之代表取締役社長執行役員 CEOは「ベトナムの投資環境改善を目指す、日越共同イニシアチブ(注2)などの対話の場を通じ、相互理解・協力を深め、ウィズコロナ、ポストコロナの新しい時代においても、大切なパートナーであるベトナムと共に成長していきたい」と述べた。イオンモールの岩村康次代表取締役社長は「新型コロナの影響で若干、事業展開スピードが減少したが、2025年末には16のショッピングモールの運営体制を計画しており、今後もベトナムは最重要出店エリアだ」と発言した。フジキンの野島新也代表取締役社長は「カーボンニュートラルが重視される時代」になったとし、ベトナムの水の浄化、水素関連技術についてダナン工科大学とラボ型オフショア開発に取り組むことを明らかにした。

カンファレンスには、会場、オンラインを合わせて約1,000人の日越両国の政府、企業関係者らが参加した。

写真 チン首相立ち会いの下行われた、協力覚書(MOU)交換式の様子(ジェトロ撮影)

チン首相立ち会いの下行われた、協力覚書(MOU)交換式の様子(ジェトロ撮影)

(注1)「カーボンニュートラルに向けたエネルギートランジション協力のための共同声明」についての詳細は経済産業省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(注2)日越共同イニシアチブは、ベトナムの投資環境を改善し、外国投資を拡大することを通じて、ベトナムの産業競争力を高めることを目的として、2003年4月に日越両国首脳の合意に基づいて開始された(2021年10月21日記事参照)。

(参考)ベトナム外国投資庁によると、2021年1~9月の対内直接投資(認可ベース、9月20日時点の速報値、出資・株式取得を除く)において、日本は金額ベースで前年同期比3.8倍の30億8,716万ドルと、主要国の中で最も高い伸び率を記録している(2021年10月4日記事参照)。

(蛇見拓斗)

(ベトナム、日本)

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