日越共同イニシアチブの第8フェーズが開始

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2021年10月27日

ベトナムの投資環境改善を目指す「日越共同イニシアチブ」(注)第8フェーズのキックオフ会合が10月21日、ハノイ市内の計画投資省と日本をオンラインでつないで開催された。同フェーズでは、日越双方が改善に向けて協力する11の分野でワーキングチーム(添付資料表参照)を立ち上げ、2023年初頭までをめどに日本の官民代表者とベトナムの担当省庁が協議を進める。

同会合は、経団連日越経済委員会の市川秀夫委員長、藤本昌義委員長、兵頭誠之委員長および山田滝雄駐ベトナム大使と、グエン・チー・ズン計画投資相が共同議長を務め、各ワーキングチームの代表者が行動計画を説明した。また、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)のチーフエコノミストを務める慶応義塾大学経済学部の木村福成教授が、「新型コロナ禍」の克服とサプライチェーンの課題解決について講演を行った。

第8フェーズでは、日本側の関心が高い電源ベストミックスなどのエネルギー分野についても新たに取り上げる。また、裾野産業、イノベーション、高度人材の3分野については、ベトナム側の強い要望をもとに設定された。裾野産業は、日系企業の調達に関する要望を調査の上、支援制度の改善や普及をはかる。イノベーションは、日本側のノウハウを踏まえ、関連の政策や法令の整備、支援機関や企業の育成を進める。高度人材は、日系企業が求める人材の調査から始め、ベトナムでの人材需給ギャップを埋めるべく活動する。

山田大使は、ベトナムがグローバルサプライチェーンで担う役割に言及の上、「本イニシアチブでの議論を通じ、日越双方が対等な立場から課題の解決に取り組み、『新型コロナ禍』を乗り越え、ベトナム経済の再生や強靭(きょうじん)化に貢献できると期待している」と述べた。

ズン計画投資相は、ビジネス環境の改善をはかると同時に、イノベーションや人材育成面でのベトナム企業の成長、日本企業と連携したグローバルサプライチェーン参画などに期待を寄せた。

(注)日越共同イニシアチブは、ベトナムの投資環境を改善し、外国投資を拡大することを通じて、ベトナムの産業競争力を高めることを目的として、2003年4月に日越両国首脳の合意に基づいて始まった。2019年に終了した第7フェーズでは、9つのワーキングチームで52項目の行動計画を協議し、85%に当たる44項目で進捗を確認できた(2019年12月24日記事参照)。

(庄浩充)

(ベトナム、日本)

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