1~9月の対内直接投資、製造業の追加投資が進展

(ベトナム)

ハノイ発

2021年10月04日

ベトナム外国投資庁によると、2021年1~9月の対内直接投資(認可ベース、9月20日時点の速報値、出資・株式取得を除く)は新規・拡張の合計で1,890件(前年同期比31.1%減)、認可額は189億2,405万ドル(22.3%増)だった。投資件数は入国制限の影響などで伸び悩み、新型コロナウイルスによるパンデミック前の2019年同期と比べて半減した。一方、製造業で大型の追加投資が相次いだことで、認可額は高水準を保った。

業種別にみると、件数、金額ともに1位の製造業は、832件(前年同期比24.4%減)、110億2,541万ドル(31.9%増)だった(添付資料表1参照)。ベトナム未進出企業の投資事例は少ないが、既進出企業による投資の拡大が目立つ。北部ハイフォン市に工場を構える韓国LGディスプレイは、当期だけで合計21億5,000万ドルの拡張投資が認可された。2月に7億5,000万ドルの認可を得たばかりだが、8月にさらに14億ドルの認可を得た。中国ジンコソーラーは、新規投資として3月に北部クアンニン省で太陽光パネル製造案件(4億9,800万ドル)が認可されたのに加え、9月には太陽電池用のシリコンウエハー製造案件(3億6,560万ドル)の認可を取得した。日本企業では、南部ビンズオン省に進出しているレンゴーの合弁会社が、新たに北部ビンフック省で段ボール原紙製造案件(6億1,140万ドル)の認可を取得した。足元では厳格な社会隔離措置が操業や設備導入などに影響を与えているが、中長期的にベトナムでの生産拡大を進める動きがみられる。

業種別の2位は、大型の発電所案件(2021年4月9日記事参照)を含むライフラインで54億2,312万ドル(前年同期比28.5%増)。3位は、不動産で10億5,136万ドル(37.7%減)だった。

国・地域別(注)では、シンガポールが55億8,477万ドル(前年同期比7.4%増)で首位となった(添付資料表2参照)。2位は韓国で34億288万ドル(42.1%増)、3位は日本で30億8,716万ドル(3.8倍)だった。件数は韓国(452件)が首位で、中国(233件)、日本(222件)、シンガポール(208件)が続くが、いずれも前年同期より減少した。

1~9月の出資・株式取得は、件数が前年同期比45.3%減の2,830件、金額が43.8%減の32億2,191万ドルと停滞している。直接投資の実行額(推計)は3.5%減の132億8,000万ドルだった。

(注)出資する会社の所在国・地域に基づく。例えば、中国に本社のあるA社が香港の子会社を通して出資する場合は、香港の投資という扱いになる。

(庄浩充)

(ベトナム)

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