エルバン国庫・財務相が辞任、ネバーティ副財務相が後任に

(トルコ)

イスタンブール発

2021年12月07日

トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は2021年12月2日、リュトフィ・エルバン国庫・財務相(以下、財務相)が辞任し、後任にヌレッディン・ネバーティ副財務相を指名すると発表した。

エルバン氏が財務相となったのは2020年11月で、アーバル前中央銀行総裁とともに国内外の期待を受けて就任した(2020年11月13日記事参照)。しかしこの体制は、エルドアン大統領の利下げ方針と衝突したアーバル氏が2021年3月に解任(2021年3月26日記事参照)されたことで崩れ、今回の財務省交代で終わりを告げた。政策金利は、9月以降だけで400ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げられていた。

エルドアン大統領は11月22日、トルコが高金利と通貨安のわなに陥ることはないと述べ、トルコ・リラへの「(海外からの)操作による攻撃」は退けられるだろうと強調し、断固たる決意をもって「経済独立戦争」に勝利すると発言した(2021年12月6日記事参照)。その後、リラは史上最安値を記録し、中銀は12月1日に、7年ぶりの直接介入を余儀なくされた。

新任の候補としての、ネバーティ財務相の名は、大統領の娘婿のアルバイラク元財務相に近いことから、利下げが始まったころから上がっていた。ネバーティ氏は、経済というよりは政治の専門家とみられており、今回の昇格は、エルドアン大統領の新経済政策を効果的に実施できる人材と判断されたためとみられる。また、ネバーティ新財務相は、イスラム系保守の中小企業を中心とする独立工業・企業家協会(MUSIAD)の理事を務めたこともあり、利下げによるリラ建て融資の拡大を見込む中小企業の代弁者としても期待されている。

(中島敏博)

(トルコ)

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