中央政治局会議が開催、経済政策の安定を最重視

(中国、米国)

中国北アジア課

2021年12月13日

中国共産党の中央政治局会議が12月6日に開催され、2022年の経済政策などを議論した。世界での新型コロナウイルスの感染拡大が収束をみせないなど先行き不透明な中で(2021年12月7日記事参照)、中国は2022年の経済政策の展開に当たり、引き続き安定を最重視し、「穏中求進」(安定の中、進歩あり)という全体の基調を堅持するとした。積極的な財政政策と穏健な金融政策も継続する。ただし、財政政策はその精度と持続可能性を高めるほか、金融政策は柔軟で適度にし、合理性を保つとした。2008年秋のリーマン・ショック後に打ち出した4兆元(約72兆円、1元=約18円)の景気刺激策で、企業債務の拡大などの後遺症をもたらした反省から、部材価格高騰などで経営の厳しい中小企業などに配慮しつつも、大規模な財政出動や金融緩和には慎重であることが読み取れる。

また、引き続き、製造業のコアコンピタンス(中核となる強み)を高め、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化を図るほか、重要コア技術分野への対応も含め、国家の戦略的な科学技術力を強化する方向だ。米中摩擦を背景とした米国の輸出管理強化を受け、通信機器メーカーなどでハイエンド製品の生産に支障をきたすケースが発生したことや、新型コロナウイルス感染の影響が深刻な時期に物流が寸断された経験などから、中国政府は自国内産業のハイテク技術向上や国内での調達・供給も可能な体制構築にさらに力を入れようとしている。

そのほか、低・中所得者に向けた保障性住宅の建設を推進しつつ、住宅購入希望者の合理的な需要をより満足できる住宅市場の形成を支援し、不動産業の健全な発展を促進する方針も示した。2020年、2021年1~10月の不動産開発投資はそれぞれ前年比7%増、前年同期比7.2%増で、2018年(9.5%増)、2019年(9.9%増)と比較すると低調な伸びになっていた。また、不動産大手の中国恒大集団が巨額の債務を抱え経営難に陥っているとされ、投資家などが中国の不動産業界の先行きに警戒感を持っているとの指摘もある。こうした状況を踏まえて、懸念の払拭(ふっしょく)に向けて、不動産市場の新たな発展の方向性を示したものとみられる。

新型コロナウイルスについては、国外からのウイルスの流入を防ぎ、国内での感染再拡大を防ぐという抑制戦略を堅持し、科学的に、着実に防疫に取り組むとした。冬季に局地的な電力不足の発生を懸念する声もある中(2021年10月20日記事参照)、統一的に燃料やその輸送を確保し、冬季の国民の暖房需要を確実に満たす点も強調した。

(宗金建志)

(中国、米国)

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