中央銀行、為替取引レートの再規制など次々と通達

(ミャンマー)

アジア大洋州課

2021年11月17日

ミャンマー中央銀行は11月10日、銀行や両替商を対象とした為替レートに関して、中央銀行が出す参考レートから上下0.5%幅以内での取引を義務付ける通達を出した。

中央銀行は8月3日付の指令で中央銀行が定める参考レートから上下0.8%幅以内とする旨の指令を出したが、9月10日に撤廃していた(2021年9月15日記事参照)。今回の通達により再度、為替レートに制限がかけられたかたちだ。11月10日時点の中央銀行の参考レートは1ドル=1,776チャットに対し、同日のある現地両替商の両替レートは1ドル=1,775チャット(買い)/1,783チャット(売り)になっている。この両替商の為替レート規制前である11月9日時点の両替レートは1ドル=1,925チャット(買い)/1,945チャット(売り)だった。

また、9月3日付、および10月3日付の中央銀行通達で、輸出業者は30日以内に輸出代金として得た外貨を外国為替公認銀行に市場価格で売却することが求められている(2021年10月6日記事参照)。この点に関して、ジェトロが中央銀行担当者に確認したところ、中央銀行は、10月28日付で国内の銀行に対し、適用期間を9月3日からではなく、それ以前の輸出代金も対象とし、11月10日までにチャットに兌換(だかん)する必要がある旨の通達を出していることがわかった。

これらの規制はいずれも、チャットの下落と物価高を抑えるのが目的とみられる。

さらに、中央銀行は11月3日付で2,000万チャット(約128万円、1チャット=約0.064円)以上の支払いについて現金決済を禁止し、インターネットバンキングや小切手などの方法のみ認める旨の通達(中央銀行通達No.43/201)を出した(国営紙「グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマー」11月4日)。本通達はミャンマー国内の支払いシステムをより効果的にするのが目的としている。

中央銀行は、ドル売りの為替介入や輸出で獲得した外貨の強制兌換の義務付けなどにより、チャットの下落の防止に努めてきた。一時期、1ドル=3,000チャットを超えたとされる為替レートは、11月9日時点で1ドル=1,950チャット程度に落ち着いていた。今回出された銀行や両替商に対する為替レートの規制により、為替レートがさらに安定するか注目される。

(アジア大洋州課)

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