米カリフォルニア日系企業、約3分の1が出社にワクチン接種か陰性証明を義務化

(米国)

サンフランシスコ発

2021年11月11日

ジェトロは米国カリフォルニア州所在の日系企業などを対象に、現在の勤務体制や従業員の新型コロナウイルスワクチン接種方針、新型コロナウイルス終息後の勤務体制などに関するアンケート調査を実施した(注1)。調査結果によると、事務所に出勤する上でのワクチン接種方針について、35.4%が「ワクチン接種または検査結果の提出を求める」と回答(注2)。また、8.3%は「連邦・州のガイドライン上、ワクチン接種の義務の対象/今後対象になる」とした。一方、56.4%は「ワクチン接種を原則として任意とし、定期的な検査結果も求めない」と答えた。

回答企業からは具体的には、「現在、ワクチン接種の原則義務化を検討中」「ワクチン接種を奨励し、接種しない社員は隔週の特定の曜日に陰性証明の提示を義務化している」などの声が聞かれた。他方、「会社としては、従業員のワクチン接種率100%を目指すが、義務化は難しいと考える。ハラスメントが発生しないように注視している」「ワクチン接種をしない従業員への対応方法に苦慮する」など、ワクチン接種に関して労務面の課題を挙げる企業もみられた。そのほか、「従業員100人以上の企業を対象にワクチン接種が義務化されることで、社内の分断を招いたり、離職者が増えるのを危惧」など、バイデン政権が示した民間企業へのワクチン接種の義務化に関する懸念の声もあった(2021年11月5日記事2021年11月9日記事参照)。

10月後半時点の勤務体制を聞いたところ、6割以上(66.2%)が、事業所への出勤とリモート勤務(注3)を組み合わせたハイブリット勤務を実施していた。「主にリモート勤務」が31.3%と最多で、「全従業員が事業所に出勤」は24.9%にとどまった。

新型コロナウイルス感染拡大終息後の勤務体制についても、5割以上(55.9%)がハイブリット勤務を想定している。そのうち、「主に事業所に出勤」が24.3%で最多だった。「主にリモート勤務」は15.8%と、10月後半時点の31.3%からほぼ半減した。回答企業からは、「リモート勤務が常態化するのであれば、事務所スペースの半減などを検討する」「ノンエグゼンプト従業員(注4)のリモート勤務を認めるよう従業員ハンドブックの見直しを行う必要がある」など、ハイブリット勤務に対応するための取り組みを検討する声も挙がった。

なお、アンケート調査では、事業所への来訪希望者の受け入れ方針や従業員の米国内出張方針についても聞いており、詳細は添付資料を参照。

(注1)調査期間:10月20~27日、回答社数:202社。回答企業には、現地在住の日本人が起業した会社など、日本に本社を構える企業の現地法人以外も含まれる。6月に実施した同様のアンケート調査の結果は2021年6月15日記事参照

(注2)「事業所・リモート勤務にかかわらず、原則として義務」(8.3%)、「出社する人は原則として義務」(13.3%)、「原則として任意だが、定期的な検査結果を提出」(13.8%)を足した数字。

(注3)自宅を含む事業所外での勤務方法を想定。

(注4)公正労働基準法の下、残業代の支払いが免除されない従業員。

(石橋裕貴)

(米国)

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