東北3省の成長率、前年同期比では好転も、足元では減速

(中国)

大連発

2021年11月05日

2021年1~9月期の東北3省(遼寧省、吉林省、黒龍江省)の実質域内総生産(GRP)成長率は、前年同期と比べるといずれも急上昇した。(2020年11月6日記事参照)一方、1~6月期と比較すると、成長率はいずれも低下しており、先行きには不透明感も漂う(2021年7月30日記事参照)。

1~9月期の各省のGRPをみると、遼寧省は前年同期比7.4%増の1兆9,722億7,000万元(約33兆5,285億9,000万円、1元=約17円)、吉林省は7.8%増の9,536億6,000万元、黒龍江省は8.0%増の9,747億6,000万元となった(添付資料表参照)。2020年1~9月期の成長率(遼寧省:1.3%、吉林省:1.5%、黒龍江省:マイナス1.9%)と比べると、各省とも経済状況は大きく好転している。

ただし、各省とも、中国全体の実質GDP成長率(9.8%)を下回ったほか、2021年1~6月期の3省の成長率(遼寧省:9.9%、吉林省:10.7%、黒龍江省:10.3%)と比較すると、3省とも成長率は低下した。

1~9月期の3省のマクロ経済に関する各省政府などの分析は以下のとおり。

遼寧省(10月28日に開催された中国共産党遼寧省委員会常務委員会拡大会議での報告内容):経済は緩やかに回復基調。中国全体の実質GDP成長率との差異も縮小傾向。雇用情勢も改善しているほか、住民収入も安定的に増加。

吉林省(10月21日に開催された吉林省政府常務会議での報告内容):経済は引き続き緩やかな回復基調にあり、全般に堅調に推移。新たな成長エンジンが引き続き役割を発揮しており、経済構造の改善も進んでいる。

黒龍江省〔10月25日に開催された黒龍江省政府常務(拡大)会議・2021年1~9月期の経済情勢分析会議における報告内容〕:主要経済指標は持続的に改善しており、重点業種も成長。民生も持続的に改善し、コロナ感染抑制策も機能している。経済の強靭(きょうじん)性は高まっている。

(李穎)

(中国)

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