習国家主席、COP26のサミットへ寄せた書面あいさつで中国の取り組みを説明

(中国)

北京発

2021年11月12日

中国の習近平国家主席は11月1日、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の世界首脳サミットに書面あいさつを寄せ、(1)「多国間のコンセンサスの維持」、(2)「実務的行動に焦点を当てること」、(3)「グリーン転換を加速させること」の3点について提案した。中国は2030年までの二酸化炭素(CO2)排出ピークアウト、および2060年までのカーボンニュートラルを宣言しているが、今回の首脳会合には出席しなかった。

(1)については、パリ協定は国際社会が協力して気候変動に対応するための基本的な準拠法だと指摘した。(2)に関しては、適切で実行可能な目標とビジョンを定め、各国の状況を踏まえてできる限りのことをし、気候変動に対応する措置を実施に移すよう訴えた。また、先進国は、自国においてできることをより多くなすだけでなく、発展途上国のためにより多くの支援をするべきだと述べた。(3)については、科学技術イノベーションによってエネルギー資源や産業構造、消費構造の転換とグレードアップを推進し、経済社会のグリーン発展を進め、発展と保護の相乗効果のある新たな道筋を模索しなければならないとした。

さらに、習国家主席は、産業構造調整を持続的に推進すること、エネルギー消費が大きくCO2排出量の多い事業のやみくもな発展を断固阻止すること、エネルギーの低炭素化を加速すること、大規模な風力発電や太陽光発電基地を計画・建設することなどを表明した。

このほか、最近の取り組みとして、「カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの完全、正確かつ全面的な実施に関する意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2021年10月28日記事参照)および「2030年までのカーボンピークアウトに向けた行動方案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2021年11月1日記事参照)を公表したことを紹介した。その上で今後、エネルギー、工業、建築、交通などの重点分野、および石炭、電力、鉄鋼、セメントなどの重点業種の実施方案を公布し、テクノロジーや炭素吸収源、財政・税制、金融などの措置を導入していくとした。

なお、中国生態環境部の発表によると、中国と米国は11月10日、「2020年代に気候行動を強化するグラスゴー共同宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。宣言には、両国がワーキンググループを置いて定期会合を開催し、政策・技術の交流継続、相互に関心のある分野のプログラムやプロジェクトの特定、政府間や専門家の会合の開催などを含むマルチプロセスを推進することなどが盛り込まれた。

(小宮昇平)

(中国)

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