カーボンニュートラルへの取り組み方針発表、具体的な目標も明示

(中国)

上海発

2021年10月28日

中国共産党中央委員会と国務院は10月24日、「カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの完全、正確かつ全面的な実施に関する意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。意見では、2030年までのカーボンピークアウトと2060年までのカーボンニュートラルの目標達成に向けた今後の取り組みに当たり、「全国統一的計画、節約を優先、政府と市場の両輪駆動、国内外のスムーズな連携、リスクの防止」といった原則を堅持した上で、主要目標として、2025年と2030年、2060年に達成すべき数値目標を列挙した。

まず、2025年までに、重点産業のエネルギー利用効率を大幅に上昇させ、単位GDP当たりのエネルギー消費量と二酸化炭素(CO2)排出量を2020年比でそれぞれ13.5%、18%引き下げ、非化石エネルギー消費の割合を20%程度、森林カバー率を24.1%に引き上げるとしている。

次いで、2030年までには、重点エネルギー消費産業(注)のエネルギー利用効率を国際先進水準にまで引き上げることを目指す。具体的には、単位GDP当たりのエネルギー消費量を大幅に引き下げるとともに、単位GDP当たりのCO2排出量を2005年比で65%以上引き下げ、非化石エネルギー消費の割合を25%程度、風力と太陽光発電の設備容量を12億kW以上、森林カバー率を25%程度にすることを目指している。

2060年までには、エネルギー利用効率を国際先進水準に到達させ、非化石エネルギー消費の割合を80%以上に引き上げ、カーボンニュートラル目標を実現するとしている。単位GDP当たりのエネルギー消費量やCO2排出量などの目標は、第14次5カ年(2021~2025年)規画で掲げられているものもあるが(2021年3月10日記事参照)、2060年までに非化石エネルギー消費の割合を80%以上に引き上げるといった目標は、今回新たに設定したものとみられる。

今回の意見に関して、国家発展改革委員会の担当者は「カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの達成は、経済社会の全ての側面を含む多次元なものとなる。そこで、意見では10分野31項目の主要任務を明確にし、ロードマップを明確にしている」と述べた(詳細は添付資料表参照)。また、今回の意見は全体的なものであり、エネルギー、産業、交通運輸、都市建設など分野別の具体的なカーボンピークアウトに向けた方策は別途示すとしている(「新華社」10月25日)。

(注)鉄鋼、電解アルミ、セメント、石油化学など。

(高橋大輔)

(中国)

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