第3四半期のGDP成長率は前期比1.3%、新型コロナ禍前の水準にはなお乖離

(英国)

ロンドン発

2021年11月15日

英国国家統計局(ONS)の11月11日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、英国の2021年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(第1次速報値)は前期比1.3%となり、2021年春からのロックダウン(都市封鎖)の段階的緩和により大幅なプラス転換となった前期から、2四半期連続でのプラス成長を記録した(添付資料図、表参照)。引き続き個人消費が堅調だった一方、輸送機器やゴム・プラスチック製品などの製造業が落ち込んだことで、前期の5.5%からは伸び悩んだ。

需要項目別にみると、内需を牽引する個人消費(家計最終消費支出)は前期比2.0%増となり、2四半期連続のプラスだった。他方、貿易に関しては、機械や輸送機器などの輸出が減少したことから輸出は1.9%減となり、貿易収支は悪化した。

産業別にみると、英国経済を牽引するサービス業は前期比1.6%増となった。イングランドで7月19日に新型コロナウイルス関連の行動規制の大半が解除されたこともあり(2021年7月6日記事参照)、流通・ホテル・レストランが3.1%増と、2四半期連続でプラスと好調を維持している。一方、建設は1.5%減と2020年第2四半期(4~6月)以来、5四半期ぶりのマイナスになった。

新型コロナウイルス感染拡大前の水準への回復はまだ遠く

2四半期連続で実質GDP成長率がプラスとなった英国だが、依然として「新型コロナ禍」前の水準には回復していない。「新型コロナ禍」前の2019年第4四半期(10~12月)と比較すると、2021年第3四半期のGDPは2.1%減となり、主要7カ国(G7)の中でも、11月11日時点で未発表の日本を除いて、最も低い数値になっている。なお、新型コロナウイルス感染の影響により深刻な経済打撃を受けた米国は、第2四半期の時点で既に「新型コロナ禍」前の水準を超えている(2021年7月30日記事参照)。イングランド銀行(中央銀行)は、11月4日に発表した金融政策報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の中で、2021年のGDP成長率見通しを7.0%とし、2022年第1四半期(1~3月)には「新型コロナ禍」前の2019年第4四半期の水準に回復する、と予想している。

(島村英莉、尾崎翔太)

(英国)

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