新型コロナと共生へ、7月19日に大部分の行動規制を解除

(英国)

ロンドン発

2021年07月06日

新型コロナウイルス感染症をめぐり、英国政府は7月5日、デルタ変異株の感染拡大を受け4週間延期していたイングランドのロックダウン緩和第4段階への移行(2021年6月16日記事参照)を、7月19日に実行する考えを明らかにした。2020年3月23日に始まった最初のロックダウン(2020年3月25日記事参照)から1年4カ月を経て、社会的距離や集会人数制限などの法的義務を含む大半の規制が、初めて撤廃される。

第4段階移行で緩和される主な規制は次のとおり(詳細は政府資料参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。7月12日に最新データに基づき最終判断する。

  • 2メートル(または1メートル+マスク着用など)の社会的距離の確保義務を一部例外除き解除(入国検査時や自己隔離対象者などは義務を継続)
  • 屋内外での集会、冠婚葬祭などの人数制限を撤廃
  • 在宅勤務推奨勧告を撤廃(職場での感染防止対策は引き続き義務付け)
  • ナイトクラブなど、営業が認められていない店舗・施設の閉鎖命令を解除
  • 飲食店での着席に限る給仕義務を解除
  • 店舗・学校・公共交通機関などでのマスク着用義務を解除

多くの規制を撤廃する一方、国営医療サービス(NHS)による感染者接触・追跡制度は継続運用し、検査陽性者は自主隔離が義務付けられる。ただ、18歳未満の未成年や2回のワクチン接種完了者は、濃厚接触者と判断されても自主隔離義務から免除されるよう、緩和する方針。同様に、入国者に対する水際対策(2021年5月12日記事参照)も大半は継続するが、日本を含む中リスク国(「アンバーリスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」掲載国)からの2回の接種完了者は、自主隔離を免除する方針。詳細は交通省が後日公表する。

店舗や施設でのワクチン接種・陰性証明の提示義務付けは、事業者の対応の負荷や差別への懸念などを考慮し、今回は見送られた。

法的強制から個人の判断重視へ

デルタ変異種の感染拡大はなお勢いを増しており、7月1日には全国の1日当たり感染者数(報告日ベース)が2万7,989人と、1月29日以来の最高を更新。それでも大幅緩和に踏み切る最大の理由は、感染者に比べ入院患者や死者の増加がはるかに緩やかで、ワクチン接種拡大の効果が如実に表れているためだ。7月2日時点の過去7日間平均死者数は18.3人で、ピーク時の1月20日(1,248.4人)の1.5%に満たない一方、7月4日時点のワクチン接種者は1回目が全成人の86.1%、2回完了は64.0%に達している。

ボリス・ジョンソン首相は声明で、「われわれはウイルスと共存することを学び始めている」と指摘した上で、今後は法律による強制より、確かな情報に基づく個人の判断が重要だと強調。政府は各種ガイダンスを順次更新し、今後も国民にリスク管理の徹底を促す。

(宮崎拓)

(英国)

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